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ジャパンカップ見解 イクイノックスの父が惨敗時に見せた予兆とは 前日→当日オッズで注目ドウデュース

花岡貴子ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家
2022年ジャパンカップのゴール前、優勝馬はヴェラアズール/撮影:青山一俊

 26日、東京競馬場で第43回ジャパンカップ(GI)が行われる。

 まず、大事なことなので繰り返すが、ジャパンカップはメインレースだが最終レースとして行われるため、レース番号は「東京12レース」なので、投票時の指定をご注意いただきたい。

東京競馬場の馬場状態は「良」をキープできそう

 さて、東京の天気は前日とはうって変わっての曇り空だが、東京競馬場付近の天気予報の降水確率は低く、馬場状態は「良」を保てる見込みだ。

単勝オッズ2番手集団では昨年の覇者も忘れずにおさえたい

 単勝オッズの動きを前日から見ているが、大きな変動はない。しいて言うなら、3番人気のドウデュースの支持率が上がっている。

 当日午前11時現在の単勝オッズは以下の通り。1番人気のイクイノックスは前日から1.3倍から1.4倍で推移しており、2番人気のリバティアイランドも前日から4倍台をキープしている。

 リバティアイランドから離れた3番人気はドウデュースだが、前日から一番オッズの上昇率がいいのがこの馬だ。16.9(前日11時)→16.2(前日17時)→13.6(当日11時)と支持率をぐいぐい上げている。イクイノックスとの対戦は今回が3回目でこれまで1勝2敗だが、その1勝は東京・芝2400mの日本ダービーだ。ジャパンカップと同じコースでの出来事だし、これだけオッズに差があるとあえてこちらから狙いたくなる。

 ドウデュース、タイトルホルダーが10倍台、スターズオンアースとダノンベルーガが20倍台、パンサラッサが30倍台、そのあとはディープボンド、イレジン、ヴェラアズールという並びも変わらない。

 昨年のジャパンカップを制したヴェラアズールが10番人気で単勝78.8倍というのはさみしい限りだが、昨年のライアン・ムーア騎手のぐいぐい馬を動かす手綱さばきを思い出すと「ムーアが乗らないヴェラアズール」に手が伸びない方の気持ちは理解できる。とはいえ、昨年の覇者だ。ドウデュースからヴェラアズールまでのオッズ2番手集団にはかなり支持率に開きがあるし、筆者はヴェラアズールも忘れずおさえておきたいと思う。

2023年ジャパンカップ当日午前11時現在の単勝オッズ(筆者作成)
2023年ジャパンカップ当日午前11時現在の単勝オッズ(筆者作成)

2023年ジャパンカップ当日午前11時現在の単勝支持率のグラフ(筆者作成)
2023年ジャパンカップ当日午前11時現在の単勝支持率のグラフ(筆者作成)

 なお、前日の午前11時、17時(JRA発表)の単勝オッズと、その支持率グラフは下記のリンク先に詳しく書いたのでぜひ見て欲しい。この記事にはジャパンカップ出走馬の出走VTRの各レースへのリンクや、調教VTRの各馬へのリンクも貼ってある。「あの馬の調教が見たい」というときにすぐに見られるので便利だ。

■参考記事

ジャパンカップ 前日11時→17時現在オッズでは人気2頭の単勝シェア率が75%超え 調教、参考VTR

イクイノックスの父が惨敗時に見せた違いは

 さて、イクイノックスが断然の人気だが、これは至極当然だろう。イクイノックスはドバイシーマクラシックを勝ったことでこのジャパンカップを勝てば200万ドル、つまり約3億円の報奨金が手に入るのだ。もちろん本賞金の5億円もある。それだけこのジャパンカップの"勝負度合"が高いのは明らかであり、馬の調整過程も申し分ないのだから、人気にならないほうがおかしい。

 とはいえ、不安要素がまったくないわけではない。父のキタサンブラックは実に安定感のある勝ち方を続けてきた馬だが、5歳の宝塚記念では順調そうに見えたが9着に敗れている。続く天皇賞(秋)は勝ったが、ジャパンカップは3着だ。

 振り返ると、宝塚記念で負けたときのキタサンブラックは調整時点で「少し大人しい」という声も聞かれた。「今から思えば~」と振り返ってのことだが、そういう話もあったのだ。いま思えば、キタサンブラックは調教も含めてひじょうにタフにレースをこなしたが、"見えない疲れ"を他馬以上に"見せない"ように振舞うのも上手かったのだと思う。

 今回のジャパンカップ、イクイノックスは前述どおり"負けられない一戦"なのだが、だからこそ"見えない何か"が潜んでいる可能性もある。ぜひ、パドックで従来の様子を比べてどう違うかを感じ取って欲しい。と、筆者は書きながらも、それでも少々のことがあったとしても吹き飛ばしてあっさり勝ってしまうのが世界ナンバーワンホースのイクイノックスだよな、と納得してしまうのだ。

 そういえば、キタサンブラックが3着に負けたジャパンカップで勝ったのは友道厩舎のシュヴァルグランだった。この友道厩舎、クラシックディスタンスが得意だし、それを意識した馬づくりをしている。この厩舎は、こわい。

■2017年ジャパンカップ(GI) 優勝馬 シュヴァルグラン(3着 キタサンブラック)

 海外遠征のダメージを癒したドウデュースがイクイノックスとどう戦うのか。

 逃げるパンサラッサ、続くタイトルホルダーを見ながら、自在性のあるイクイノックスがどう振舞うか?

 そんな激しい駆け引きの中で、3歳牝馬のリバティアイランドがどう"勝ちにいく"競馬をするのか、とても楽しみだ。2018年のジャパンカップではアーモンドアイが前にキセキを行かせながらもイン2、3番手でレースを進めながら自分でレースをつくり競馬をする勝負に出た。2023年、三冠牝馬は役者揃いの中どう攻めるのか?

 牝馬はあと2頭、クリノメガミエースとスターズオンアースが参戦する。スターズオンアースは終いに堅実に上がってくるタイプだし、乗りなれたルメール騎手からビュイック騎手に替わってどう攻めてくるのか、注目したい。

■2018年 ジャパンカップ(GI) 優勝馬 アーモンドアイ

■参考記事

女子高生が年上男たちをなぎ倒す!三冠牝馬アーモンドアイが驚異的レコードでジャパンカップを制覇

■参考記事

2022年 天皇賞(秋) パンサラッサが魅せた、サイレンススズカの"夢の続き"

2023年ジャパンカップ枠順(筆者作成)
2023年ジャパンカップ枠順(筆者作成)

ライター、脚本&漫画原作、競馬評論家

競馬の主役は競走馬ですが、彼らは言葉を話せない。だからこそ、競走馬の知られぬ努力、ふと見せる優しさ、そして並外れた心身の強靭さなどの素晴らしさを伝えてたいです。ディープインパクト、ブエナビスタ、アグネスタキオン等数々の名馬に密着。栗東・美浦トレセン、海外等にいます。競艇・オートレースも含めた執筆歴:Number/夕刊フジ/週刊競馬ブック等。ライターの前職は汎用機SEだった縁で「Evernoteを使いこなす」等IT単行本を執筆。創作はドラマ脚本「史上最悪のデート(NTV)」、漫画原作「おっぱいジョッキー(PN:チャーリー☆正)」等も書くマルチライター。グッズのデザインやプロデュースもしてます。

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