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「後日装備」となっている海自もがみ型護衛艦VLSの納入予定が判明した

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
海上自衛隊のもがみ型護衛艦1番艦(FFM1)の「もがみ」(海上自衛隊)

「後日装備」となっている海上自衛隊のもがみ型護衛艦の垂直ミサイル発射システム(VLS)の納入時期が分かった。もがみ型10隻分のVLSを一括して調達する2023年11月16日付の防衛省の契約資料で判明した。

それによると、令和7(2025)年度に3式(3隻分)、令和9(2027)年度に4隻分、令和10(2028)年度に3隻分のVLSがそれぞれ製造元の三菱重工業から防衛省に納入される予定だ。以下の画面の赤字部分が、その記述となる。

防衛省が2023年11月16日に公表した海自のもがみ型護衛艦搭載用の垂直発射装置(VLS)の長期契約に関する資料を筆者がキャプチャー
防衛省が2023年11月16日に公表した海自のもがみ型護衛艦搭載用の垂直発射装置(VLS)の長期契約に関する資料を筆者がキャプチャー

防衛省は令和5(2023)年度予算にもがみ型護衛艦10隻分のVLS MK41などの整備費用として787億円を計上した。しかし、実際には長期一括契約による縮減額が358億6523万円に及び、昨年9月6日に三菱重工業と交わした契約額は716億7600万円にとどまった。同社は日本企業としては唯一、アメリカ政府の認可の下、MK41の製造メーカーの米ロッキード・マーチンと技術援助契約を締結、さらに武器等製造法に基づくライセンス生産の許可を受けている。

●これまで全艦のVLSが「後日装備」

もがみ型護衛艦は年2隻というハイペースで建造が進められ、令和5年度計画艦までの計12隻で建造を終える予定だ。しかし、2022年4月に就役した1番艦もがみから、昨年11月に進水した8番艦ゆうべつにいたるまで、これまですべての艦のVLSが「後日装備」となってきた。

このため、海自艦艇を専門に扱うYouTubeチャンネルでも「もがみ型には本当にVLSは搭載されるの?」といった動画が流れるまでに至っていた。

また、オーストラリア政府が同国海軍の水上戦闘艦隊の見直しの中で、次期フリゲートの候補の1つとしてもがみ型護衛艦を選んだことに関連し、内外の軍事評論家からは、もがみ型にVLSが依然装備されていないことから、その対空能力や防空能力を疑問視する声も上がっていた。

これに対し、海自トップの酒井良海上幕僚長は3月6日の記者会見で、具体的なVLS装備の時期は明言しなかったものの、確実に装備を実施していく方針を強調していた。

なお、防衛省は令和3(2021)年度補正予算でも、もがみ型護衛艦搭載VLSの2隻分の取得費として84億円を計上した。また、防衛省の昨年8月の説明によると、VLSが後日装備ではなく、竣工時から設置されているのは令和5年度計画艦のもがみ型11番艦、12番艦からとなっている。

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米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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