今回の衆議院選挙で、自民党は単独過半数に当たる233議席どころか、国会を安定的に運営するためのいわゆる「絶対安定多数」の261議席を単独で確保した。

その一方、コロナ対策の不手際や不祥事連続で自公政権への強い反発が少なからずあったのに、立憲民主党はその受け皿になれず、公示前勢力を下回る議席しか獲得できなかった。公示前の109議席から96議席となり、13議席も減らした。政治は結果がすべて。立憲民主党の共産党との共闘ははたして本当に正しかったのか。失敗に終わったのではないか。

野党第一党の立憲民主党が議席を減らした一方で、日本維新の会は与党や野党共闘とは距離をおき、94選挙区に候補を擁立。選挙前の4倍近い議席を獲得し、公明を上回り、自民、立憲民主に続く第3党に躍進した。また、国民民主党は立憲民主党と違い、共産党を含む候補者調整には加わらなかったが、公示前の8議席を超える11議席を確保した。

こうした選挙結果を踏まえれば、共産党との共闘を推し進め、議席減という失敗に終わった立憲民主の枝野代表の責任が問われるだろう。

●立憲民主の外交安保政策を不安視

今回の総選挙は、総じて有権者がコロナ対策や不祥事といった内政面で自公政権に少し「お仕置き」をしたと言えよう。ただ、中国の台湾への攻勢や北朝鮮の度重なるミサイル発射をはじめ、東アジアの安全保障環境が日に日に厳しくなる中、共産と共闘した立憲民主の外交安保政策を不安視する人々は多かったはずだ。共産党は党綱領で日米安保条約の廃棄と自衛隊の段階的解消を掲げている。

衆院選が公示された10月19日には、北朝鮮が日本海に向けて短距離の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射し、日本周辺の安全保障環境が厳しくなっていることが改めて浮き彫りになった。

さらに、日本が総選挙たけなわの10月中旬から下旬にかけ、中国海軍とロシア海軍の艦艇計10隻が隊列を組んで津軽海峡と大隅海峡を初めて通過。日本列島をほぼ一周するという異例の威圧的な行動を見せた。

●対米追従脱却を目指すならば自主防衛強化が必須

立憲民主は米国との対等な関係や対米追従からの脱却を唱えていたが、それならば少なくとも「自主防衛強化」も同時に言うべきだっただろう。アメリカの安全保障からの依存を減らすには、「自分の国は自分で守る」との強い気概がないとできない。そうでないと、人々は立憲民主の外交安保政策を頼りなく空虚に思うはず。多くの人々の脳裏には鳩山民主党政権の安保政策の失敗の記憶が残っており、立憲民主は今のままでは無党派層からの幅広い支持も得られないだろう。

立憲民主の参考になるのは、韓国の文在寅政権だ。文大統領は左派政権を率いながらも「自主国防」を強化しており、軽空母や原子力潜水艦の導入で韓国をアメリカ軍に依存しない国にしたいとの長年の悲願を有している。立憲民主も日本の対米追従からの脱却を目指すならば、自主防衛強化がどうしても必要になる。

●外交安保は国の基盤

そもそも外交安保は、国民の生命と暮らしを守る国の基盤となっている。政治家が政争にふけっていても安保や国防がしっかりしていれば、人々は最低限の安心を感じることができる。

結局、立憲民主党は現下の東アジアの安全保障環境に対する見方が楽観的で甘すぎたのではないか。中国の海洋進出が進み、北朝鮮の核ミサイル戦力が着実に増強されてきている中、最悪の事態を想定して万全を期すなら、この時期の共産党との共闘には慎重だったはずだ。

立憲民主党が本気で政権政党を目指すのであれば、来年の参議院選に向けて、外交安保を含め、もっと中道寄りになり、無党派層をしっかりと掴まないといけないだろう。自公政権に対する「お仕置き票」中心のおこぼれでは、いつまでも政権は取れないだろう。中朝の高まる軍事的な脅威にしっかりと対峙できるような現実的な安保外交を含め、安心感のある政権ビジョンがなければ来年の参院選でも国民は野党共闘に希望を託そうとはならないだろう。安保政策を現実的なものにし、もっと中道寄りの野党連合に変えるべきではないか。

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