海上自衛隊の最新鋭潜水艦の命名・進水式が10月14日、川崎重工業神戸工場で行われた。「はくげい」と名付けられた。同工場での潜水艦の進水式は2019年11月の「とうりゅう」以来で戦後30隻目。

海上幕僚監部広報室によると、艦名の「はくげい」は漢字では「白鯨」と書き、白いマッコウクジラを意味する。海上自衛隊で「はくげい」と命名するのは初めてで、旧日本海軍での命名実績もない。艦名は海自の部隊などから募集し、各種検討を踏まえた結果、岸信夫防衛相が決定した。

はくげいは、日本の主力潜水艦そうりゅう型の後継艦となる最新鋭たいげい型潜水艦の2番艦だ。全長84メートルと全幅9.1メートルは、そうりゅう型と同じだが、深さは10.4メートルとなり、そうりゅう型より0.1メートル大きい。これは海自最大の潜水艦となる。基準排水量も3000トンとなり、そうりゅう型より50トン多い。建造費は約720億円。乗員は約70人。軸出力は6000馬力。速力は未公表となっている。

たいげいと同様、女性乗員のための専用の居住エリアやシャワー室、寝室をあらかじめ設ける。

はくげいは2019年1月に起工された。今後、内装工事や性能試験を実施し、2023年3月に海上自衛隊に引き渡される。海上幕僚監部は「配備先は未定」と説明する。

●はくげいもリチウムイオン蓄電池搭載

そうりゅう型はディーゼル潜水艦で、低振動で静粛性に優れ、世界有数の高性能艦として知られてきたが、たいげい型は、その性能向上型となる。

はくげいは、そうりゅう型11番艦おうりゅう、12番艦とうりゅう、たいげい型1番艦たいげいに続き、GSユアサが開発したリチウムイオン蓄電池を搭載し、ディーゼル電気推進方式の通常動力型潜水艦となる。主機関に川崎12V25/25SB型ディーゼル機関2基を採用している。

はくげいは、高性能シュノーケル(吸排気装置)を擁し、潜水艦に重要な隠密性を高める。さらに、光ファイバー技術を用いた新型の高性能ソナーシステムを装備して探知能力が向上する。

また、そうりゅう型8番艦のせきりゅうから導入された潜水艦魚雷防御システム(TCM)も装備している。

海上自衛隊の最新鋭潜水艦たいげい型2番艦「はくげい」(高橋浩祐撮影)
海上自衛隊の最新鋭潜水艦たいげい型2番艦「はくげい」(高橋浩祐撮影)

●最新の18式魚雷を装備へ

たいげい型は、89式魚雷の後継である最新の18式魚雷を装備することが見込まれている。魚雷発射管は艦首最前部に集約されている。

日本の潜水艦は三菱重工業神戸造船所と川崎重工業神戸工場が隔年で交互に建造している。川崎重工業神戸工場では1957年12月、海自の悲願だった戦後初の国産潜水艦「おやしお(初代)」が「昭和31(1956)年度計画潜水艦8001号艦」として起工され、1960年6月に就役、海自の呉地方隊に編入された。

現在、三菱重工業神戸造船所でたいげい型3番艦、川崎重工業神戸工場で4番艦がそれぞれすでに建造中だ。2019年度予算ではその3番艦建造費として698億円、2020年度予算ではその4番艦建造費として702億円、2021年度予算ではその5番艦建造費として684億円がそれぞれ計上された。さらに、今年8月末に閣議決定された2022年度予算の概算要求では、6番艦建造費として723億円が示された。

海上幕僚監部広報室は、たいげい型が合計で何隻建造されるかは決まっていないと説明した。しかし、これまでの年に1隻の建造ペースや古い艦の退役時期を考慮すると、今後8年で計8隻程度が建造される公算が高い。

海上自衛隊は現在、そうりゅう型12隻のほか、おやしお型11隻を保有している。ただし、おやしお型のネームシップ1番艦「おやしお」と2番艦「みちしお」はすでに練習潜水艦として運用されている。たいげいは2022年3月に就役する予定で、これをもって防衛省・海上自衛隊は2018年12月の防衛大綱でも定められた潜水艦22隻体制(=そうりゅう型12隻+おやしお型9隻+たいげい型1隻)を確立する方針だ。

海上自衛隊の最新鋭潜水艦たいげい型2番艦「はくげい」の進水記念絵ハガキ(高橋浩祐撮影)
海上自衛隊の最新鋭潜水艦たいげい型2番艦「はくげい」の進水記念絵ハガキ(高橋浩祐撮影)

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