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短い夏休み期間、子どもがスマホ・SNS・ゲームにハマりすぎる前にしたい4つのこと

高橋暁子成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト
(写真:アフロ)

新型コロナウイルスによる臨時休校が明けて、学校が再開。慣れたところで、多くの学校で夏休み開始となります。公立学校の95%で夏休みは短縮され、夏休み期間の最多は16日間に。最短は小中学校で9日間、高校で4日間といいます。

これまでにない短い夏休みが始まります。そんな中でもしっかりと休み、また新たな気持ちで2学期を迎えるためにはどうすればいいのでしょうか。

休校からの学校再開で疲れ果てている子どもたち

「毎日7時間授業で、塾も行って、疲れているみたい。ご飯を食べないで寝ちゃった」と、ある小学5年生女子の母から聞きました。「もうこんな時間だけど、起こしてお風呂に入れなくちゃ」。

帰宅後、ゲームに熱中している小学生も多かったようです。ある小学3年男子は、保護者から「(感染リスクがあるから)遊びに行くな」と言われている上、久しぶりの学校は楽しくも刺激が多くて疲れるため、ゲームをしながら無になれる時間が大切なようでした。

このような話は多数聞きました。休校が長かったため子どもたちの体力は落ちていました。さらに、久しぶりの学校は遅れを取り戻そうと長時間授業でどんどん学習が進み、慣れないマスクをしたままの3密を避ける行動様式で疲れ果てる子どもは多かったのです。

長期休暇は心身を休めたり、リセットできる大切な時間でもあります。

今年の夏休みは在宅期間が長い可能性

夏休みになると、これまで張っていた気が抜ける子もいるでしょう。しかも、小池都知事が都民に対し夏休み期間に都外への旅行や外出をひかえるよう呼びかけるなど、今年の夏休みは旅行や外出などがしづらい、またはひかえることが勧められる状態です。必然的に、在宅期間が長くなる可能性があります。

夏休みなどの長期休暇では、一般的に子どもたちのスマホやゲーム、SNSの利用時間が長くなる傾向にあります。両親とも働いている家庭は増えており、学校も休みになると、一人で自宅で過ごす時間が増えます。保護者や教員の目が行き届かなくなるため、スマホやSNS、ゲームに熱中し、ハマってしまう子が増えるのです。

楽しみで利用するくらいならいいのですが、中にはもとの生活に戻れなくなるほどハマってしまう子も少なくありません。多くの学校で、長期休暇明けはスマホやSNS、ゲームにハマった子、それによって不登校気味になっている子の対応に追われます。

スマホ、SNS、ゲームにハマりすぎる前にしたい4つのこと

既に述べた通り、スマホやSNS、ゲームにハマりすぎてしまうと、2学期にもとの生活に戻すのが難しくなります。夏休み開始前に、どのような過ごし方をしたいのかについて考えてみてください。

そして、ハマりすぎないための準備をしておくことがおすすめです。そのためには、4つのコツがあります。

1つめは、生活リズムを守ることです。

休み中に昼夜逆転で夜型の生活になり、夜中ゲームをしたりYouTubeを見続ける子どもはとても多くいます。夜型生活になると、より一層保護者の目が行き届きづらくなり、スマホやSNS、ゲームの依存状態となりやすくなります。まず、生活リズムを崩さず、普段と同じように早寝早起きを続けることが大切です。

2つめは、「やることとやりたいことを考える」です。

短いと言っても、普段よりは時間があるはずです。この夏休みの間にやること、やりたいことを決めましょう。一日の時間割として、まず宿題や塾、習い事、練習などのやることを挙げてください。続いて、「○○を作る/読む/見る/行く/書く/描く」「○○ができるようになる」「○点アップ」「○秒速くなる」「毎日続ける」など、具体的な目標(やりたいこと)も挙げておくのがおすすめです。

3つめは、「スマホ・SNS・ゲームの利用時間を決める」です。

続いて、充実した夏休みを送るために、目標とするスマホ・SNS・ゲームの利用時間を決めましょう。睡眠時間ややること、やりたいことの時間を確保した後に、自由になる時間はどのくらいでしょうか。その中で、適切な利用時間はどれくらいでしょうか。

iPhoneやiPadなどのiOS端末では、スクリーンタイム機能を使えば現在の日々のトータルの利用時間やアプリごとの利用時間が確認できるので、目安としてもいいかもしれません。普段学校に行っているときより長くなりすぎないのがいいのではないでしょうか。

4つめは、「目標を守るために仕組みを使い、周囲の人に協力してもらう」です。

利用時間の目標が決まったら、iOS端末ならスクリーンタイム、Android端末ならファミリーリンク機能などを使って利用時間を設定しておくとやめやすくなります。

保護者と利用時間の約束をして、周囲の力を使ってやめるのもいいでしょう。保護者は子ども生活リズムが崩れないよう、利用時間が守れるように見守ってあげてください。また、子どもが利用時間を短くしようとしているのであれば、保護者も使いすぎは厳禁です。家族全員でスマホやSNS、ゲームの時間は切り上げて、気分が変えられるようにするといいでしょう。また、子どもが守れていたら、ぜひ褒めてあげてください。

繰り返しますが、短い夏休みにスマホやSNS、ゲームなどにハマりすぎると、二学期にもとの生活に戻りづらくなります。短くても充実した夏休みが過ごせるよう、意識して過ごしてみてください。

成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト

ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。テレビ・ラジオ・雑誌等での解説等も行っている。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)、『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(日本実業出版社)等著作多数。教育出版令和3年度中学校国語の教科書にコラム掲載中。

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