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2022年の消費者問題における10大リスクは…目立つ「18歳成年」問題、マッチングアプリでの投資詐欺

高橋暁子成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト
(写真:イメージマート)

国民生活センターが、「消費者問題に関する2022年の10大項目」を発表しました。2022年に消費者問題として社会的注目を集めたもの、消費生活相談の特徴的なものの10選です。

消費者トラブルを避けるためには、そのような被害が増えていることを知り、備えることが必要です。改めて、今年を代表する消費者トラブルを抑えておきましょう。

ここでは、特にネット周辺で起きている被害を中心に詳しくご紹介します。

①18歳から成年に 4月から民法改正

②SNSやマッチングアプリをきっかけに 詐欺的トラブル目立つ

③海産物の送りつけ商法 高齢者の割合も高く

④ウクライナ情勢を悪用 詐欺やトラブル発生

⑤霊感商法 対策検討会で提言まとめる

⑥生活必需品の値上げ相次ぐ 急激な円安も

⑦新型コロナウイルス感染症の一般用抗原定性検査キット初承認 ネットでの購入も

⑧再発、子どもの誤飲事故 折りたたみ式踏み台による負傷事故も

⑨消費者契約法・消費者裁判手続特例法 通常国会で改正

⑩消費生活相談のデジタル化 アクションプランを公表

2022年の消費者問題に関する10大リスクは?

①18歳から成年に 4月から民法改正

4月に改正民法が施行され、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。全国の消費生活センター等に寄せられる相談は、20歳代の相談件数は未成年者と比べて多く、契約金額も高額です。この20歳代に多く見られるトラブルが、18歳、19歳にも及ぶことが懸念されていました。

事実、改正後に18〜19歳の「脱毛エステ」トラブルが急増し、前年同期比でなんと7倍になっています。

18歳で成年になることで、これまで使えた「未成年者契約取消権」が利用できなくなりました。未成年が保護者の同意なしにした契約は原則として取り消すことができたのが、できなくなったのです。

国民生活センターは、「18・19歳に気をつけてほしいトラブル10選」を紹介しています。該当する年齢の若者や保護者は必ず確認し、気をつけて利用するようにしてください。

②SNSやマッチングアプリをきっかけに 詐欺的トラブル目立つ

コロナ禍でSNSやマッチングアプリの利用が増えています。それに伴って、SNSやマッチングアプリで出会った相手からの投資詐欺被害も増えています。

本人確認ができていないサービスも多く、悪意を持って投資や儲け話などを持ちかけられて騙されたり、「国際ロマンス詐欺」のように恋愛感情をちらつかせてお金を騙し取る手口も増えています。

国際ロマンス詐欺は、外国人等を名乗る相手とマッチングし、投資話を持ちかけられるものの、入金後は出金できず相手と連絡がとれなくなる詐欺です。日本だけでなく世界中で広がっており、数百万、数千万円失っている方もいます。暗号資産投資の詐欺も増えています。

会ってもいないのに結婚をちらつかされたり、お金の話を出されたら、疑うようにしてください。周囲の信頼できる人に相談し、冷静に判断するようにしましょう。

被害者は20〜80代までと幅広いため、他人事と思わず、気をつけて利用してください。

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若い人の間では、タレント・モデルの契約トラブルも増加中です。レッスン・マネジメントのための料金を取られるものの、レッスンも仕事もこないなどのトラブルです。

街中でのスカウトに加えて、スマートフォン等で検索して見つけたオーディションに申し込んだり、SNSで芸能事務所の募集広告を見たりして、自ら連絡を取ったことをきっかけに、トラブルにあうケースもあります。

その場では契約せず、きちんと活動している事務所かどうか、保護者と一緒に確認するようにしてください。

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転売チケットの購入トラブルも増えています。SNSなどで知り合った相手に代金を振り込んだものの、チケットが送られてこないなどの詐欺です。転売仲介サイトで購入したものの、入場できないトラブルも起きています。

「チケット不正転売禁止法」によって、チケットの高額転売は禁止されています。検索で上位に表示されても、公式のチケット販売サイトではなく転売仲介サイトであることがあります。SNSでの個人間取引にはリスクが伴うことを知っておきましょう。

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SNSで宣伝すれば商品代金やサービス利用料が無料になると勧誘されるものの、キャッシュバックが振り込まれないとか、商品・サービス代金を請求されるなどのトラブルも起きています。ネットで知り合った相手の話は、安易に鵜呑みしないようにしてください。

消費者トラブルは、どんな人にもけして他人事ではありません。今、どのようなトラブルが起きているのかを知り、備えておくようにしましょう。

成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト

ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。テレビ・ラジオ・雑誌等での解説等も行っている。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)、『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(日本実業出版社)等著作多数。教育出版令和3年度中学校国語の教科書にコラム掲載中。

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