10代の自殺率は過去最悪に、LINEでも相談できない男子生徒を見守る必要性は高い

男子学生の方が自殺率が高いが、LINEなどのSNSでも相談できていない(写真:アフロ)

厚生労働省のまとめによると、昨年一年間に自殺した人の数が調査以来、速報値ではじめて2万人を下回った。1万9959人で、昨年より881人、つまり4.2%減となっている。これはいいことだが、実は若者の自殺率は過去最悪を記録している。

19歳以下の死因1位は自殺、死亡率も過去最悪に

厚生労働省の「令和元年版自殺対策白書」によると、年齢階層別の自殺率推移を見ると、近年は減少傾向にある。しかし、2018年の19歳以下の自殺死亡数(人口10万人あたりにおける自殺者数)は統計を取り始めた1978年以降最悪となってしまった。

日本における10~39歳の死因1位は自殺。国際的にも、15~34歳の死因1位が自殺となっているのはG7の中でも日本のみだ。なお、韓国も同様に死因の1位は自殺であり、日本と死亡率(人口10万人あたりにおける死亡数)が同率となっている。

15~34歳の死因1位が自殺となっているのはG7の中でも日本のみ
15~34歳の死因1位が自殺となっているのはG7の中でも日本のみ

「学校問題」「家庭問題」「学業不振・進路」原因も

気になる10代の自殺の原因だが、最多は「学校問題」で4割を超える。続いて「健康問題」、「家庭問題」がそれぞれ3割弱となっている。全体では小中学生は「家族からのしつけ・叱責」「親子関係の不和」などの家庭問題が多く、中学生以降になると「学業不振」「学友との不和」などの学校問題が多くなる傾向にあるようだ。

10代の自殺の原因は「学校問題」「健康問題」「家庭問題」
10代の自殺の原因は「学校問題」「健康問題」「家庭問題」
自殺の原因は小中学生は家庭問題が多く、中学生以降になると学校問題が多くなる
自殺の原因は小中学生は家庭問題が多く、中学生以降になると学校問題が多くなる

男子大学生・専修学校生等では学業不振や進路に関する悩みなどの学校問題の比率が高く、女子大学生・専修学校生等では、うつ病が高く、次いで学校問題が多くなる。学業不振や就活の悩みなどは、将来の不安につながりやすいということだろう。

大学生の自殺の原因は学業不振や進路の悩みが多い
大学生の自殺の原因は学業不振や進路の悩みが多い

10代は世界が狭く、毎日家と学校の往復だけということが多い。家庭で居場所がなかったり、学校での人間関係に悩んでいるとリスクが高くなるので注意してほしい。また、大学生では学業や就職などの進路の悩みが大きいので、特にその時期は保護者は意識して見守ってあげてほしい。

相談できない男子生徒に要注意

最近、若者の自殺対策としてSNS相談が注目されている。従来のように電話ではなく、若者が好むLINEやチャットなどで悩みが相談できるというものだ。全体に好評で、多くの若者から相談が寄せられているという。

しかし、SNS相談にも課題が残っている。自殺率は全体的に男性が女性の2.3倍と多いが、若者でもこの傾向は同様で、やはり女子生徒よりも男子生徒の死亡率が高めだ。ところが、SNS相談は女性からが92.1%を占めており、男性からの相談はわずか7.9%に過ぎないのだ。

自殺率は他の年代同様、男子生徒の方が高い
自殺率は他の年代同様、男子生徒の方が高い
男子生徒はSNS相談でも相談できない傾向に
男子生徒はSNS相談でも相談できない傾向に

男子生徒の方が自殺率が高いにもかかわらず、SNSでも相談できてないのが現状だ。女性の方が普段からSNSでのコミュニケーションに慣れ親しんでいることも大きいだろう。しかしそれ以上に、男性の方が「男だから」「男のくせに」と様々なプレッシャーを与えられたり、弱みを見せることを良しとされない傾向にあるのも影響しているのではないか。

10代の子どもが身の回りにいたら、ぜひ「SNS相談」の存在を伝えてあげてほしい。特に男子生徒には、悩みを相談することはけして恥ずかしいことではないことをメッセージとして伝えてあげてほしい。また前述のように、学校の種別・性別で自殺の原因は異なるので、しっかり見守っていただければ幸いだ。