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熊本地震に学ぶ デマに惑わされない災害時のSNS活用法

高橋暁子成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト
災害時に備えてSNSの適切な使い方を知っておこう(写真:アフロ)

4月14日から続く熊本地震の被災者の皆様に、心からお見舞いを申し上げます。

2011年の東日本大震災の時、初めてSNSが災害に活用できるという認識が生まれたという人は多いのではないでしょうか。震災時は電話回線はつながりづらくなり、携帯電話や固定電話による通話はほとんど不可能でした。ところが、TwitterなどのSNSならインターネット回線で連絡が取れたため、緊急連絡用としてTwitterアカウントを作成した人も多くいました。自治体アカウントがツイートを始めた例もありました。

既に述べた通り、SNSならインターネット回線で連絡が取り合えるため、安否確認や情報収集手段として使えます。また、個別に連絡を取らずとも一斉に連絡できるため、効率的でもあります。今回の地震では、その時の学びを活かしたSNSの災害利用が目立ちます。

災害時のSNSの具体的な使い方のコツについてご紹介していきましょう。

災害時の利用(1)情報収集

Twitterは、知り合い以外のツイートも読むことができ、情報収集に便利です。今回の場合は、「熊本」がキーワードとなっています。共通するキーワードで検索することで、情報は収集しやすくなります。

「熊本」でTwitterの検索機能から検索すると、以下のようなTwitterアカウントなどが見つかります。このアカウントは様々な情報をリツイートしているので、その中で自分の求める情報を見つけたり、新たにフォローするといいでしょう。

熊本地震被災者の皆様へ 政府応援情報Twitter
熊本地震被災者の皆様へ 政府応援情報Twitter

熊本地震被災者の皆様へ 政府応援情報

ハッシュタグは関連情報を集める時に使いやすいものです。「#熊本」「#熊本地震」などのハッシュタグを検索すると、関連ツイートをまとめて読むことができます。

Facebookでも「熊本」で調べると、情報交換用コミュニティなどが多数見つかります。多くの情報を紹介しているので、気になる情報を見つけて拡散などで協力できます。

熊本大震災避難所支援情報

手を取り合おう熊本 【熊本震災 物資不足地域 情報】

その他にも、このような救援物資マッチングサイトなども登場しています。

熊本地震 救援物資マッチング

災害時の利用(2)安否確認・生存報告

SNSは、家族や友人などの安否確認や生存報告などにも利用できます。

Facebookでは災害時限定で、Facebookでつながっている友人や家族に自分の安否を伝えたり、逆に友人や家族の安否を確認したり、報告することができる「災害情報センター」機能が利用できます。影響を受けた地域内で無事でいる場合は、「自分の無事を報告」というボタンをタップすると、最新情報を示す通知とニュースフィード記事が作成され、Facebook上の友達に安否報告ができます。

その他、Twitterで「無事です」ツイートをしておくと、多くの人が見てくれるかもしれません。また、LINEで心配な人にトークを送っておけば、「既読」がついただけで無事を確認することができます。

災害時の利用(3)情報発信

被災地にいる個人発の情報も多数拡散されました。たとえば、熊本の慈恵病院では入院患者がいるにも係わらず水も食料も足りなくなり、医師が個人のFacebookで訴えたところ、多数の物資が集まりました。この投稿は5000件以上もシェアされています。このように、個人でも情報発信できるところがSNSの良さの一つです。

ただし、状況は刻一刻と変わっていくため、リツイートやシェアされた頃には情報が古びているということがしばしば起こります。古びた情報を拡散してしまうと迷惑がかかってしまうこともあるため、情報は随時最新にアップデートしていく必要があります。

たとえばTwitterで情報を拡散する時は、公式リツイートがお勧めです。公式リツイートなら元のツイートが削除されたらリツイートも削除されますが、非公式リツイートではそのまま残ってしまうことになるからです。ツイートの発信者は、状況が変わったら元のツイートは消し、「ありがとうございました。物資は無事集まりました」などの完了報告ツイートもしておくといいでしょう。

Facebookの場合は、元の投稿が編集できます。最初の投稿には「○月×日△時時点の情報です」などと書いておいたり、状況が変わったら、「【○月□日☆時 募集終了】物資は十分に集まりました。ありがとうございました」などと最新情報に編集し直した上で、同様の内容を新たに投稿しておくといいでしょう。

Instagramなどでも「#熊本」というハッシュタグを付けて、多くの現地情報が投稿されていました。写真のみではデマや古いものが混じっていても判断しづらく、現地の人も情報の真偽を判別しづらかったようです。情報の発信者は、信じてもらうための情報をできるだけ盛り込みましょう。たとえば新しい情報であることを伝えるために、今日の新聞などと一緒に写真を撮るという方法があります。また、情報が何月何日何時時点のものかということを明記するといいでしょう。

災害時の利用(4)デマに惑わされないために

SNSでシェアやリツイートなどの拡散をする際には、デマや古い情報に惑わされないようにしてください。Facebookならプロフィールや友人関係等を見れば、その情報が本物かどうかなどはある程度判断できます。

Twitterで確認するためには、ツイート主のアカウントを確認し、前後のツイートを確認した上で、他人がそのツイートや画像を投稿していないかを検索するなどして、信頼できる情報かどうかを判断した上で拡散するといいでしょう。認証済みアカウントマークがついているアカウントは本人確認済みなので、参考にしてください。

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成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト

ITジャーナリスト、成蹊大学客員教授。SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。テレビ・ラジオ・雑誌等での解説等も行っている。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)、『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(日本実業出版社)等著作多数。教育出版令和3年度中学校国語の教科書にコラム掲載中。

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