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【ホークス新人名鑑・Q&A】5位・松本晴、厳しかった父の言葉を胸に「とことんやるだけ」

田尻耕太郎スポーツライター
入団発表に臨んだ松本晴投手(筆者撮影)

 松本晴投手。背番号49。大阪西ボーイズ~大阪生野シニア~樟南高校(鹿児島)~亜細亜大学。左投左打。大阪出身。181cm、84kg。

 大学3年春のトミー・ジョン手術から、今年の春に復帰してリーグ戦優勝、大学選手権優勝に大きく貢献。球速以上の球威とキレで勝負できる直球は、右打者へのクロスファイアーが武器。

 高校2年生時には兄弟でバッテリー。性格は探求心が強く、のめり込みやすい。好きな食べ物は焼肉、寿司、ピザ、スパゲッティ、ハンバーグ、ステーキなど。嫌いな食べ物は特になし。趣味はグルメ巡り、サバイバル動画を見ること。

【一問一答】

――大阪出身。どういった理由で鹿児島へ?

「父親の中学校の頃の同級生の方が樟南高校のOB会長をされていて、自分が中学校1年生のときの95回大会で樟南が甲子園に出場したんです。その試合を見に行って、このチームでピッチャーとして投げたいなと思って。そこで甲子園目指せる樟南高校に入学しようと決めました」

――お兄さんの影響も?

「兄が行くよりも先に樟南高校に行きたいと考えていたので。でも、結果的に兄も一緒に行きました」

――字がうまい。

「小学校の頃に習字を習っていた時期があった。でも、そこまで真剣にやっていない。ペンも苦手なので」

――サイン会とかありますよ。

「マジックペンは大丈夫です(笑)」

――野球人生を振り返ってターニングポイントは?

「父親からは小さい頃からすごく厳しく教育されて、親元を離れて鹿児島で野球をしたときも時々電話をしたり、帰省して話すときに『自分に厳しくとことんやれ』と常日頃から言われていた。しっかりと父親の言葉や教育は今の自分を作ってくれたものだと思います」

――どんな厳しさ?

「怒鳴ることは少なくて、冷たく接せられるのが怖かった。小学校の頃は怖くてあまり話せなかった思い出があります」

――プロが決まってどんな言葉をかけられた?

「そうですね、もう親元を離れてからはすごく優しくなったんですけど、でも自分が何か駄目なことがあったりしたときは厳しい言葉をかけてくれたりとか。ドラフトが終わったときもすごく喜んでくれたんですけど、だけどこれからプロは厳しい世界なので、とことんやって、野球に集中して、やれるだけやれと言われました」

目標は「負けないエース」

――最高勝率のタイトルを目標にしている。

「特に欲しいタイトルとか具体的な数字というのはないんですけど、強いて言えば最高勝率。自分が投げた試合で毎試合でもチームの勝利に貢献できたらなとの思いから選びました」

――斉藤和巳コーチは『負けないエース』と呼ばれた。

「なんでも質問していけたらと思っています。斉藤和巳投手は小さい頃からYouTubeでピッチング動画を見て、えげつないってずっと感じていたので。そのような投手から教えていただけるということは素晴らしく恵まれている。早く1軍の舞台で投げられるように努力していきたいなと思っています」

――大学でトミー・ジョン手術。勇気がいる決断だったのでは?

「自分自身もメスを入れるのは怖くて、保存療法を選択しようかなと考えていたんですけど、いろんなトレーナーの方に話を聞いたり自分で調べていくと、復帰が結果的に早くなるのはトミー・ジョン手術だと。その後も安定して試合で投げられるようになるには、やっぱり手術を選択した方がいいとなったので決断しました。手術をした後は、全く迷いはなかったです」

――手術した頃の状況は?

「痛みで全く投げられないような状況でした」

――プロが遠ざかるかもとの不安もありましたか?

「しっかりリハビリして1年後に結果を出せば入れるかな、と。自信があるわけではなかったんですけど、とにかく自分ができることを精いっぱいやろうと思ってリハビリをしっかりとしました」

――苦しかった時期は?

「公式戦で投げたのは術後11か月だった。4か月目までは本当にキャッチボールも全くできなくて。半年が経過してから、ようやく人に投げられるようになった。その間はいろんな本を読んだり、勉強したりとかして、フォームをもう一度見直して、肩肘に負担のかからないフォームを目指した。自分なりにできることをやってきたつもりなので、手術する前と比べていろいろ成長できたなと思います」

――術前と術後の変化は?

「最速自体は変わっていないんですけど、安定して高い出力で投げられていて、平均球速もしっかりと上がってきている。このまま練習を継続していきたい力をつけていきたいです」

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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