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最速更新155キロで若鷹を圧倒!2年連続ドラフト指名あるか、独立・火の国サラマンダーズの守護神

田尻耕太郎スポーツライター
自己最速を塗り替える155キロを計測した火の国・西島

 6月8日、ヤマエ久野九州アジアリーグの火の国サラマンダーズは福岡ソフトバンクホークス三軍とタマホームスタジアム筑後(以下タマスタ筑後)で公式戦に臨んだ。

火の国の主砲・水本が27打点でリーグ1位タイ

【6月8日 公式戦 タマスタ筑後 325人】

火の国    `000002011 4

ソフトバンク `100000000 1

<バッテリー>

【火】〇源、石本、水野、橋詰、S西島――深草

【ソ】高橋純、●大城、桑原、中道――石塚

<本塁打>

【火】深草

<スタメン>

【火】4高山 6橋中 8小林 9水本 3佐藤 5中野 D・PIGBOSS 7植月 2深草

【ソ】4小林 8舟越 9笹川 3黒瀬 2石塚 D川村 7早 5伊藤 6勝連

<戦評>

 両チームが公式戦で対戦するのはこの日が最後。ここまで優勢だった火の国サラマンダーズが最後も勝って、対戦成績を4勝2敗とした。

 火の国は六回に水本の適時打で追いつくと、続く佐藤の内野ゴロの間にすかさず逆転した。水本は27打点目で同僚のイスラエル・モタに並びリーグトップに立った。

打点ランキング1位に並んだ火の国・水本
打点ランキング1位に並んだ火の国・水本

 八回は1死満塁から相手バッテリーミスで追加点。九回には深草が左越えソロを放ってダメ押しした。

 先発した源は初回にいきなり無死満塁として黒瀬に押し出し四球を与えて先制点を献上。大荒れの予感を漂わせたが、その後のピンチをしのぐと5回1失点と粘り切った。六回以降は馬原監督の小刻みな投手リレーが冴えてきっちり逃げ切った。

ソフトバンク先発の高橋純
ソフトバンク先発の高橋純

 ソフトバンクは二回以降1安打のみと打線に元気がなかった。火の国とは対照的にリリーフ陣も失点。先発した高橋純が4月以来の実戦マウンドで151キロをマークして1回無安打無失点2奪三振と好投したのが収穫だった。(了)

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守護神西島、転機は昨年のドラフト会議

 火の国サラマンダーズの守護神を務める西島篤投手(25)の剛速球が唸りを上げた。3点リードの九回裏から登板。先頭の黒瀬を154キロで空振り三振、続く石塚はカットボールで遊ゴロに仕留めた。そして、3人目の牧原巧への3球目に最速の155キロで空振りを奪うと、最後は154キロで三振。圧巻の投球で試合を締めくくった。

 西島は「これまで153キロが最速でした。更新です」と笑顔。「昨オフにウエイトトレーニングを頑張って、今年は平均球速が上がっている。150キロ以上は常時出ていて、その中で良い力感で投げることを意識していました。今日はスピードも出ていたので、最後はちょっと力を入れてみました」と充実感を漂わせた。

今年26歳、ラストイヤーの覚悟

 原動力となっているのは昨年のドラフト会議だ。プロ1球団から調査書が届き朗報を待ったが、名前が呼ばれることはなかった。その中、並んで座っていた石森大誠が中日ドラゴンズに3位指名を受けた。

「一緒に頑張ってきた仲間だしすごく嬉しかった。だけど、同時に悔しい気持ちもあったのは事実です」

 まもなく迎える誕生日で26歳になる。年齢を考えれば、今秋がラストイヤーだと覚悟をしている。「年齢が高めなのは自覚していますが、それでも指名してもらえる投球を見せられるようにしていきたい」。昨年は米メジャー球団からも身分照会が届いており、この日の快投で再び注目度が高まる可能性もある。

馬原監督も成長認める

 右腕の成長は馬原孝浩監督も認めている。「昨年抑えを務めた石森がNPBに行ったことでチームを去り、西島が抑えになった。自覚や責任も昨年までと違うと思います」という。また、155キロは昨年石森がマークしたのと同じだが、馬原監督は「実質、西島の方が速かったと思う」と話す。石森も筑後でのソフトバンク三軍戦で記録したが、第二球場の方だった。スピードガン表示は第二球場の方が出やすいという。「西島もアッチの球場だったら157くらい出てたかもしれませんよ」と馬原監督。

 NPB球団のスカウトも球場で見かけるが、その数はまだ多くない。独立リーグの場合は高校野球や大学野球が落ち着いた後の夏場以降に増えてくる傾向がある。その頃に西島はどんな剛速球を示せるか。人生をかけた1球。魂を込めて右腕を振りぬく。

※写真はすべて筆者撮影

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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