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「ネクスト甲斐拓也」へ。ソフトバンク21歳捕手が二軍レギュラー格で経験着々

田尻耕太郎スポーツライター
未来の正捕手好捕として楽しみな渡邉陸

 5月1日、ウエスタン・リーグ公式戦で福岡ソフトバンクホークスはタマホームスタジアム筑後で阪神タイガースと対戦した。

【5月1日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 2338人】

阪神     `300000010 4

ソフトバンク `000002100 3

<バッテリー>

【T】才木、岩田、尾仲、◯小野、ケラー、S二保――藤田

【H】中道、椎野、岡本、尾形、●中村亮、泉――渡邉

<本塁打>

【T】陽川

<スタメン>

【T】D江越 5遠藤 4北條 7井上 3陽川 9板山 8豊田 2藤田 6高寺

【H】6川原田 3明石 8真砂 Dデスパイネ 2渡邉 5リチャード 9正木 7笹川 4緒方

<戦評>

 ソフトバンクは惜敗。前日に連敗を5で止めて貯金1を作ったが、再び勝率ジャスト5割に戻った。

 公式戦初先発だった中道は初回に制球を乱すなど不安定でいきなり3失点。それでもしり上がりに状態を上げて5回途中3失点と立て直して好材料も見せた。

 打線は六回裏に渡邉の適時打などで2点を返すと、七回裏には途中出場していた増田が適時内野安打を放って同点とした。増田はこの日2打数1安打1打点。打率.333と好調だ。

 しかし、3-3とした直後の八回表、5番手・中村亮が阪神・陽川に痛恨の4号ソロを浴びて再びビハインドに。そして、これが決勝点となった。中村亮は1回を投げて被安打はこの一発のみ。3つのアウトはすべて三振で奪っただけに悔やまれる1球となった。

セーブを挙げた阪神・二保
セーブを挙げた阪神・二保

 阪神は最終回に、昨季途中にソフトバンクからトレード移籍した二保が抑えで登板。29日のソフトバンク戦に続いて2セーブ目を挙げた。(了)

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渡邉陸に、小久保二軍監督「身をもって経験」

 ソフトバンク21歳捕手の渡邉陸が今カードの阪神3連戦を捕手としてフルイニング出場した。

 今季開幕から二軍のレギュラー格で出場を続けているが、高卒6年目の九鬼隆平との併用が続いていた。しかし、この3日間は九鬼を三軍戦でマスクをかぶらせ、渡邉を“正捕手”として起用した。

 小久保裕紀二軍監督は「今朝話をしたら、今までにないくらい体が張っていると言っていた」と笑いながら話した。そのうえで「1カードをフルで(マスクを)被るのは初めて。でも、甲斐拓也は一軍で(143試合)全部出たんだぞと言うと『考えられない。すごい』と言ってた。それを、身をもって経験させる意味でも」と起用の意図を説明した。

小久保裕紀二軍監督
小久保裕紀二軍監督

4日連続フルマスク

 渡邉は28日の広島戦(由宇)でもフル出場しており、この日で4日連続だった。「正直、朝はしんどかった」と話したが、6投手を工夫しながらリードし、打撃ではタイムリーを含む3打数2安打1打点と活躍した。打率は.310をマーク。14四死球も光り、出塁率も4割を大きく超える。

 小久保二軍監督は「最後のホームランは、引っ張られてはダメ。不用意すぎた。流されての一発ならいいけど、マウンドに行って間を取るなど出来ることはあった。まだ全部ができるわけじゃないけど」と課題も口にしたが、一軍推薦対象に「すでになっています」とも断言した。

一軍に行くときはスタメン

「でも、今一軍に行っても出られない。だったら、こっちで試合に出る方が良い。一軍に行くときは、(甲斐)拓也に代わって頭(スタメン)から出る時ですよ。もちろん、そうじゃなくても、将来を見据えて藤本監督が呼ぶなら昇格はありますが、今はこういう経験を積んで、今後、拓也を押しのけるくらいの気持ちで取り組んでほしい」

 タカの未来の正捕手へ、渡邉にとって貴重な阪神3連戦となった。

※写真はすべて筆者撮影

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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