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復活めざすサブマリン、ホークス高橋礼が今年初シート打撃に登板「実戦も見えてきている」

田尻耕太郎スポーツライター
シート打撃に登板した高橋礼(筆者撮影)

 昨秋のキャンプ中に腰痛を発症し、以来リハビリ組で調整をしている福岡ソフトバンクホークスの高橋礼投手が10日、筑後第二球場でのシート打撃に登板した。

 野手は守らず、高橋礼が球種やコースを口にして投球するスタイル。当然、打者もそれを把握して打席に立つため早いカウントからの勝負となった。1人目の育成ルーキー・藤野恵音はその条件下でも129キロ直球で投ゴロに打ち取った。ただ、2人目の周東佑京には127キロ直球を右越え本塁打された。

周東から一発くらうも「ネタになる」

高橋礼vs周東の同級生対決(筆者撮影)
高橋礼vs周東の同級生対決(筆者撮影)

 高橋礼は「そういう中で投げたので、結果は気にしていない。あとでロッカーでのネタになるとは思います」と苦笑い。次々と打者が入れ替わる中、まずは打者延べ9人に対し24球を投げ込んだ。安打性は2本だった。

 その後は、3分間の休憩を挟んで延べ11人に対し26球。こちらは安打性4本。打たれたことよりむしろ、球種やコースを伝えた中でも空振りを奪うシーンもあり、ボールにはキレがあるように見えた。

打者延べ20人に50球

 前後半合わせて打者延べ20人に対して、50球のピッチング。「打者が立つ中でそれだけ投げられたのが大きい」と振り返った。

 この日の感触については「前回、打撃投手で投げたときよりは良くなかった。ぼやけているというか締まりがない。投げている感じがあまり良くなかった。感覚的なところですが」と口にしたが、現在はまだトレーニングで体に疲労も溜めたり投球練習の数も増やしたりする中で投げている段階だ。春季キャンプに例えるならば、2月中旬の3、4クール目に相当すると言っていい。

 この先はトレーニング量を一旦落とすなどして、今度は適切な箇所への刺激を入れつつ「試合で投げる」状態を作り上げていく。「そうしないと、自分の思い描くフォームにはならない。それをコントロールしている段階」と高橋礼自身も話す。

実戦登板も見えてきた

「実戦登板も見えてきているし、体の状態も上がっている。でも、去年大きく崩してしまったフォームを修正するのは時間もかかるし、劇的に変わるものでもない。徐々に作っていくしかない」

 昨年は新球カーブの習得を目指す中で「小手先に頼ってしまい、体幹が抜けてしまっていた」と表現をした。昨年は11試合登板で1勝どまり。19年は先発で12勝を挙げ新人王を獲得し、20年は中継ぎで52試合に投げたサブマリン右腕の復活は誰もが期待するところだ。

 この日は「去年ほどバラつきはない。去年はあべこべでした。今日はほぼほぼストライクを投げられた」との手応えも口にしていた。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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