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エース千賀もFA加入又吉もB組スタート。ホークス「藤本流キャンプ」の意図とは

田尻耕太郎スポーツライター
昨秋のキャンプでの千賀(筆者撮影)

 ソフトバンクは24日、春季キャンプに向けた監督・コーチ会議を開き、キャンプメンバーの振り分けなどを行った。

柳田、松田らコロナ陽性11名は筑後C組から

 今季からの三軍拡充に伴い、新たにファーム施設のある筑後を拠点としたC組が設立された。当初は高卒ルーキーや若手育成選手を中心に組まれる予定だった。だが、現在、チーム内で新型コロナウイルス陽性判定を受けた選手が続出。その多くが無症状ながら隔離期間などで調整が遅れていることが考慮され、「体力が戻るまでは筑後で調整」という藤本博史監督の意向から柳田悠岐外野手や松田宣浩内野手、リチャード内野手ら、今月に入って陽性判定を受けた12選手のうち11選手がC組スタートとなることが決まった。

A組投手はオール20代

監督・コーチ会議の様子。前列左が藤本監督。同右が王会長(球団提供)
監督・コーチ会議の様子。前列左が藤本監督。同右が王会長(球団提供)

 一方でA組には多くの若手が抜擢。高卒2年目野手の井上朋也内野手や川原田純平内野手、投手陣でも育成枠ながら重田倫明投手がA組スタートを果たす。藤本監督は「A組でアピールできるのはいい刺激になる」と若鷹への期待の言葉を口にした。

 藤本監督の就任によって「世代交代」の色がより強調されている。これまでは野手にその焦点が当てられることが多かったが、キャンプ振り分けでは投手陣にもその波が確実に押し寄せていることも感じられた。

 エースの千賀滉大投手もFA加入の又吉克樹投手もB組スタート。守護神の森唯斗投手、先発で実績十分の和田毅投手も東浜巨投手も石川柊太投手も、中継ぎでも嘉弥真新也投手も同じくB組でキャンプインする。

 藤本監督は「練習メニューの前倒し」による措置であると説明した。

 近年に比べて実戦形式が早く導入される。第2クールにシート打撃、第3クールからは紅白戦を実施する予定だ。

第1クールから全員打者に投げる

「昨年までより1クール早くなりますよね。そのため、A組の投手全員には第1クールからフリー打撃の打撃投手をやってもらうと、担当コーチにはお願いをしています」(藤本監督)

 A組入りした投手陣はオール20代の若手中心で、急仕上げが要求されている。そのため、実績組に関しては藤本監督も「信頼しているから」と、B組での自己調整が任された。それでも第3クールにはシート打撃登板など実戦形式で投げられるだけの調整を求められている。

 新生・藤本ホークスのテーマは「競争」だ。まずは若手を中心に激しいサバイバルが繰り広げられる。「(実戦の)結果だけじゃなく内容が良ければオープン戦にも残っていくでしょう。開幕までどんどん人数が減っていく。それが競争ですが、良い選手は落ちるわけがないので。結果を出して内容でも示してほしいです」。B組ないしはC組スタートとなった主力組も徐々にA組へ合流していく見込みだが、それは決して約束事ではない。アピールに失敗すれば主力であっても開幕一軍争いから脱落していくことも示唆した。

 一見すれば地味なメンツでのキャンプインとなりそうだが、名より実となる中身の濃い「2月のホークス」となりそうだ。

【A組】

(投手)大竹耕、津森、武田、甲斐野、田中正、尾形、大関、高橋純、田浦、奥村、松本、重田

(捕手)甲斐、海野、九鬼

(内野手)川瀬、高田、今宮、明石、井上、川原田、三森、野村勇

(外野手)中村晃、栗原、正木、柳町、上林、水谷

【B組】

(投手)又吉、東浜、和田、石川、椎野、森、千賀、嘉弥真、中道、桑原、岡本、大城、中村亮、村上、田上、藤井

(捕手)牧原巧、渡邉、石塚

(内野手)増田、小林、黒瀬、緒方、伊藤、勝連、荒木

(外野手)中谷、早、川村、山本、仲田

※記載のない選手は筑後でのC組もしくはリハビリ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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