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馬原監督も“新庄BB”もびっくり?火の国サラマンダーズに現れた「PIG BOSS」とは何者だ

田尻耕太郎スポーツライター
サングラス姿で質問に応じるPIG BOSS(筆者撮影)

 独立リーグ球団に「BIG BOSS」ならぬ、「PIG BOSS」が誕生した。

 プロ野球独立リーグ「ヤマエ久野 九州アジアリーグ」の火の国サラマンダーズが2日、熊本市内のホテルで来季から就任する4名の新コーチの会見を行った。かつてソフトバンク、日本ハム、DeNAで活躍し今季はDeNAで二軍投手コーチを務めていた藤岡好明氏も壇上にいた中で、ひときわ異彩を放ったのが「PIG BOSS」選手兼打撃・内野守備コーチだった。

 マイクを握る順番になると、いそいそと小さめのサングラスを装着して準備オッケー。

「コーチ兼任で選手としてもやらせていただきます、いのく……いや、PIG BOSSです。好きな食べ物は豚丼です。来年も一生懸命、元気出して頑張っていきますので宜しくお願いします」

 威勢よくと思いきや、緊張でこわばった表情のまま大人しめの口調で所信表明を行った。周囲のコーチたちの方が笑いをこらえるのに必死だった。

正体は新コーチ

左から神田康範球団代表、藤岡投手兼投手コーチ、西選手兼バッテリーコーチ、PIG BOSS選手兼内野守備・打撃コーチ、瀬戸口選手兼外野守備・走塁コーチ(筆者撮影)
左から神田康範球団代表、藤岡投手兼投手コーチ、西選手兼バッテリーコーチ、PIG BOSS選手兼内野守備・打撃コーチ、瀬戸口選手兼外野守備・走塁コーチ(筆者撮影)

 PIG BOSSの正体は猪口雄大だ。

 今季は内野手として活躍。攻撃的2番打者を務めることが多く、公式戦では38試合に出場して80打数23安打、打率.288、0本、12打点の成績を収めた。来季も選手としてプレーを続ける中、馬原孝浩監督を支える内野守備・打撃コーチも兼任することになった。

 熊本生まれ、熊本育ちの25歳。東海大星翔高校から東海大九州キャンパスを経て社会人・熊本ゴールデンラークスに入社。そして、今季は火の国サラマンダーズへ舞台を移した。

 プロフィールには身長168cm、体重86「トン」と記されている。根はマジメな青年だが、愛嬌ある見た目とともに今季はサラマンダーズの盛り上げ隊長として常に存在感を放っていた。

「球団名が広がれば」

サインも「ブタっ鼻がポイント」だという(筆者撮影)
サインも「ブタっ鼻がポイント」だという(筆者撮影)

 PIG BOSSの愛称は昨夜急きょ決定したとのこと。キャラ設定が決まらないまま臨んだ会見だったが、質問が飛ぶたびにサングラスを着用し、“本家”新庄剛志BIG BOSSに何か一言と振られると困り顔で熟慮し「PIG BOSS!」と今日一番の元気で応える“スベリ芸”も披露した。

 独立リーグもれっきとした「プロ野球」である。学生野球と社会人野球も経験した中、今年一年その舞台に身を置いたことで感じたこともあったという。

「球団広報さんをはじめ、スタッフの皆さんがすごく頑張っているのも伝わっています。もし、これでサラマンダーズの名前が広がれば僕としても身が引き締まります」

 PIG BOSSとして何をすべきか――。

「新庄BIG BOSSからは野球界の発展、改革をしていこうという本気度がすごく伝わってきます。今の野球界が不満とかではないけど、考え方なども変えてくれるパワーがすごいと思います。僕も発信をしていきたい」

 今季がチーム設立1年目だった火の国サラマンダーズは、中日ドラフト3位で石森大誠投手がNPB入りを果たすなど、今シーズンは特に投手力が注目されていた。野手の底上げはチームとしての大きな課題だ。「馬原監督の考えもしっかり取り入れる中で、特にフィジカル面の強化に努めたいです」と最後はマジメ顔で意気込みを口にした。

 2022シーズン、ホリエモン球団・福岡北九州フェニックスの加入で注目度が高まりそうな九州アジアリーグにまた一つ楽しみな目玉が誕生した。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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