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「千賀2世」ホークス杉山一樹は154キロで9奪三振も不満顔。底知れぬポテンシャル

田尻耕太郎スポーツライター
顎ひげを蓄え、体も大きくなりシルエットも千賀に似てきた(筆者撮影)

古谷が担架退場から中2日で登板

 6月23日、福岡ソフトバンクホークス二軍は、タマホームスタジアム筑後で行われたウエスタン・リーグ公式戦で中日ドラゴンズ二軍と対戦した。

【6月23日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 無観客】

中日     200000001 3

ソフトバンク 100000000 1

<バッテリー>

【D】福谷、濱田達、三ツ間、鈴木翔、藤島、伊藤準――石橋、大野奨

【H】杉山、古谷、奥村、板東――九鬼、海野

<本塁打>

【D】石岡1号

<スタメン>

【D】6溝脇 7シエラ 4根尾 5石川昂 D A・マルティネス 9藤井 3滝野 2石橋 8伊藤康

【H】8真砂 6川瀬 3中村晃 D内川 9田城 2九鬼 5リチャード 7谷川原 4古澤

<戦評>

 ソフトバンクの先発は2年目の杉山。立ち上がりは不安定で3安打と1四球を許して2点を先制された。その後も走者を許す不安定な投球だったが、最速154キロをマークした直球に威力があり、6回を投げて9三振を奪った。

 2番手で登板した古谷は20日のオリックス戦で登板した際に、打球が右膝に直撃し担架で運ばれて途中降板し心配されていた。しかし、打撲で大事には至らず、中2日でマウンドに戻ってきた。打者3人を三ゴロ、三振、三ゴロに抑える好投。投球フォームの崩れもなかった。

 打線は初回に内川のタイムリーで1点を奪った以外に得点はなし。チーム全体5安打のうち、内川が2本、中村晃が1本と実績組は健在をアピールしたが、若鷹たちは寂しい結果に終わった。ただ、八回に代打で登場した大本が放った右越え二塁打はなかなか見応えのある打球だった。(了)

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「真っすぐで押し切りたい」

 これが二軍戦の投げ合いか。ソフトバンクの杉山一樹と中日の福谷浩司はどちらも150キロ超のストレートをどんどん投げ込んだ。この球を若いバッターたちに打ち返せというのは酷だ。そう思わせるだけの威力あるボールだった。

 2年目の杉山は「鷹のロマン」だ。潜在能力を開花させれば一軍でエース、いや球界を代表する大エースになれる可能性を大いに感じさせる。この日の最速は154キロ。それが身長193センチから投げ込まれる。

 6回を投げて9三振を奪った。しかし、7安打2失点で黒星を喫した。負けたことはともかく、ヒットを打たれたことに杉山は不満顔だった。

「体の使い方がもっと(理想通りに)できれば、真っすぐをあんなにはじき返されない。バッターが真っ直ぐ一本に絞っていたのかもしれないけど、そこを押し切りたいんです」

先発適性は着実にアップ

 長い自主練習期間中に体を鍛え、人生最高体重となった。また、尊敬する千賀滉大が取り組むフォーム改造の理論を追いかけ、メジャー流の投げ方に取り組んでいる。

「肩や肘で投げていない感覚です。今日は6回で100球近く投げましたが、全く問題なかった。ピッチング(フォーム)に間がないので、もしかしたらタイミングがとりやすいのかもしれない。だけど、それ以上にボールに力を伝えることを優先的にやっている」

 昨年はリリーフが主だった。今年3月の教育リーグでは5イニングを投げただけでヘロヘロになり、試合後の夕方には部屋でぐったりとなっていた。確かな進化はある。しかし、課題もある。発展途上の右腕がこの後どのような工夫を見せていくのか。今後要チェックだ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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