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ホークスが緊急紅白戦で「一塁手・松田宣浩」をテスト。新調ミットに「熱男」!

田尻耕太郎スポーツライター
紅白戦で一塁を守った松田(左・筆者撮影)

二保、松本とも1安打投球「そん色ない」

 福岡ソフトバンクホークスは9日、前日のオープン戦(DeNA戦・横浜)が天候不良により中止になったことを受けて、福岡PayPayドームで急きょ紅白戦を行った。DeNA戦で登板予定だった二保旭投手と松本裕樹投手が開幕ローテの「1枠」を争って、紅組と白組に分かれてマウンドに上がった。

 

【3月9日 紅白戦 福岡PayPayドーム】

紅組 0000 0

白組 0001 1

※特別ルール

<投手リレー>

【紅】二保

【白】松本

<本塁打>

【白】リチャード

<戦評>

 ともに初の開幕ローテ入りを狙う12年目の二保投手、6年目の松本投手がともに好投した。

 被安打はわずか1本ずつだった。松本は初回、先頭の周東に四球を与え、1アウト後に釜元に遊撃内野安打を打たれて一、三塁のピンチを背負った。しかし、続く松田宣の場面で釜元の二盗を九鬼が阻止。そして松本は松田宣をスライダーで見逃し三振に仕留めて無失点で乗り切った。松本は4回1安打3奪三振2四球無失点の内容だった。

 二保は4回2死までノーヒット投球。しかし、最終回のあと一人というところで、リチャードにセンターバックスクリーン中段まで運ばれる130m超の特大アーチを浴びて失点した。二保は4回1安打3奪三振3四球1失点の内容だった。

 工藤公康監督は「どちらもそん色ない投球だった。投手コーチと話し合いたい」と笑顔だった。また、リチャードの特大弾についても「良いものを見ましたね」と喜んだ。

 10日からは福岡PayPayドームで巨人とオープン戦2連戦に臨む。(了)

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松田宣浩、熱男ミットは自前だった

ミットには熱男の文字!(筆者撮影)
ミットには熱男の文字!(筆者撮影)

 開幕投手を争う2人の投手のために組まれた意味合いの強い紅白戦だったが、工藤監督はしたたかにその他の収穫を得ていた。

 両チームのスタメンが書かれたボードを見て、最初は目を疑った。白組4番打者の松田宣浩内野手の守備位置がファーストだったのだ。三塁には若手の三森が入っていた。

「景色が逆でした」と笑い飛ばした松田宣。守備中は一塁ベースコーチの本多内野守備走塁コーチに助言も受けながら、何の問題もなく一塁守備をこなしていた。

 また、ファーストミットをよく見ると「熱男」の2文字がしっかりと刻まれていた。え、借り物じゃないのかと思い訊ねてみると、「ちゃんと僕のですよ!」と大声で返答。これは失礼しました。

「(首脳陣から)準備をしておいてほしいと言われたので、今年(ミットを)2つ作ったんです」

 工藤監督は「いろいろ考えた中での、1つのシミュレーション」と説明。前日のDeNA戦も開催されていれば、「一塁手・松田」で起用するつもりだったそうだ。

「全くやっていない状態で公式戦を迎えるのは良くない。違和感があったかもしれないが、やっていく中で慣れていくと思う。何かあった時のため、経験をしておいた方がいい」(工藤監督)

 複数ポジションを守れるユーティリティ選手を重宝する工藤監督らしい準備と危機管理意識。松田宣は7年連続ゴールデングラブ賞を獲得している名手だが、妙なプライドを振りかざすことはなく生き生きとプレーしていた。

 首脳陣と選手の意識の高さが、ホークスの強さを支えている。それを象徴する「ファースト・松田」だった。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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