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元ホークス、巨人の森福允彦さんがキャンプ来訪。第2の人生は福岡で

田尻耕太郎スポーツライター
工藤監督に促されグラウンドへ(筆者撮影)

「チョメ」の愛称は今も

 懐かしい笑顔と再会した。

 ソフトバンクと巨人で活躍し昨季限りで現役を引退した森福允彦さんが9日、ソフトバンクのキャンプ地を訪れて工藤監督をはじめかつてのチームメイトに引退の報告をした。

「チョメ!」

 今も変わらぬニックネームで呼ぶ声が、ダグアウトの裏で何度も響いた。球場内だけではない。球場の外でも森福さんの姿に気づいたファンからは「チョメさ~ん」とたくさんの声が飛んでいた。また、森福さんがひと通り挨拶を終えてベンチ前に立っていると、工藤監督に促されて打撃練習中のケージの裏側へ。するとスタンドからは大きな歓声が沸き起こった。

「選手ではない立場でキャンプに来るのは新鮮だし、改めてファンの人たちの熱気や凄さを感じました。たくさん声をかけてもらって嬉しい限りでした」

「森福の11球」は伝説に

 森福さんはプロ13年間のうちソフトバンクで10年間プレー。貴重な中継ぎ左腕として活躍し、2011年日本シリーズで無死満塁からリリーフして無失点で切り抜けた「森福の11球」は今も語り草となっている。

 プロ通算134ホールド。身長172センチ、体重70キロと登録されていたが、実際は身長も体重もそれ以下ではないかと思うほど小柄な左腕だった。しかし、マウンドではいつも堂々としていて、とても大きく見えた。2011年からは4年連続でシーズン50試合以上に登板した。

 小さな体をフル回転して、チームのために献身的に投げ続けた。だからファンは森福さんを愛した。春季キャンプで思い出すのは、イケメンぞろいのソフトバンクの中にあっても森福さんが貰うチョコの数はチームで一番だった。森福さん自身もファンを大切にしていた。ヤフオクドームでのナイター終了後、帰宅が午後11時くらいになってもファンが待っていれば愛車を止めて全員にサインをする。それは珍しい光景ではなかった。

 2016年オフに国内FA権を行使して、以降3年間は巨人でプレーをした。

「自分の中でやり切って引退を決めました」

第2の人生は福岡で

 第2の人生をスタートさせる場所。森福さんは福岡を選んだ。この街が好きだという思いは、離れてからも変わらなかった。

「何をするか、模索しています。まずは野球選手としての感覚を捨てないといけない。いろいろなことを勉強したい。慌てて決めずに、たくさんのことを勉強したいと思っています。ありがたいことに解説の話は頂いています。野球はするのは勿論、見るのも好きだったので、本当にありがたいです」

 次の舞台でも森福さんは力いっぱいに生きていく。また、たくさんの人を笑顔にするために。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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