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2戦連続MVPホークス砂川!登録名は来季「リチャード」へ=台湾ウインターリーグ

田尻耕太郎スポーツライター
台湾WLをきっかけに来季「リチャード」でブレイクだ(筆者撮影)

ヤクルト清水が5回無失点

 台湾で行われているウインターリーグ。NPB紅(福岡ソフトバンク、埼玉西武、東北楽天、オリックス、東京ヤクルト)は28日、台中のインターコンチネンタル球場でCPBL(台湾リーグ選抜)と対戦した。

【11月28日 ウインターリーグ 台中】

CPBL 000002100 3

NPB紅 40200303× 12

<バッテリー>

【C】魏碩成、頼智垣、林威志、陳明軒、楊達翔――柯育民、呉明鴻

【N】清水(S)、引地(E)、重田(H)――斉藤(L)、フェリペ(B)

<本塁打>

【N】斉藤(L)、砂川(H)

<戦評>

 好調なNPB紅打線が終始攻勢を仕掛けた。初回、4番砂川(H)の先制適時打に始まり川越(L)の2点打、斉藤の犠飛で早くも4点をリード。三回には斉藤が2ランを右翼席へ運んだ。さらに六回には4番の砂川から小郷(E)、川越と3者連続で適時長打を放ちリードを広げると、八回は砂川が左翼席へ会心の2ランを放つなど3点を追加してダメ押しした。

 先発の清水(S)は5回を5安打無四球無失点の好投。3番手の重田(H)は2回無安打の好リリーフで試合を締めた。

 NPB紅は開幕から5試合負けなし(4勝1分け)だ。(了)

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ガッツポーズ確信弾「狙ってなかったけど」が成長の証

打った瞬間に「いった!」(筆者撮影)
打った瞬間に「いった!」(筆者撮影)

 完ぺきだった。打った瞬間に確信すると、自然と左手を高々と上げてポーズを決めていた。

 福岡ソフトバンクの砂川リチャード内野手の勢いが止まらない。初回1アウト一、二塁の第1打席で左越え先制適時二塁打を放つと、六回は技ありの右線適時二塁打。そしてハイライトは八回の第5打席だ。この日は強い逆風が試合前からずっと吹き続け、「今日は全然入らない」と試合前に音を上げていたのが嘘のような会心の特大弾。左翼席の中段へと力強い打球を叩き込んでみせた。

 台湾入りする前に王貞治球団会長から「3試合に1本塁打」のノルマを提示され、「メチャクチャ意識しています」と鼻息荒い砂川。「初球のファウルの時はメチャクチャ意識して力んでいました」。打ったのは次の球だ。「あの時は狙っていなかったんです」。体が自然と動いた感覚だった。

 5打数3安打4打点1本塁打でまさに4番の働き。3打数3安打2打点だった前の試合に続いてMVP(ヒーロー)に選ばれた。

 ここまで開幕から全5試合で安打を放っている。20打数10安打、打率.500、2本塁打、9打点。本塁打はトップタイ、打点は単独1位だ。

 宮崎秋季キャンプ中の巨人との練習試合でも本塁打を放っており、どこか一皮剥けた印象もある。

「今は反応で打てています。そして以前は変化球を打てなかったのが、いまは『あ!』と思っても、我慢をしてから強くバットを振ることが出来ています」

オリの吉田正を超えてみろ

 台湾ウインターリーグをきっかけに翌年飛躍を遂げた例はいくつかある。最近では今季ヤクルトで143試合フル出場して36本塁打、93打点を大ブレイクした村上宗隆だ。彼は昨年秋に台湾で武者修行をし、4本塁打と15打点で台湾WL打撃二冠を獲得していた。

 また、台湾WLで桁違いの成績を残したのが2016年に参加した吉田正尚(オリックス)だ。18試合で打率.556、6本塁打、29打点で三冠王。30安打と塁打数57でもトップだった。

 入団3年目となる来季へ、支配下登録はもちろんのこと目指すは一軍での活躍だ。また、来季からは自らの希望で登録名を「リチャード」に変更する。周りのチームメイトたちも「『砂川』より打ちそう」と背中を押す。

台湾武者修行はまだまだ続く。終わってみれば王会長もびっくりするような、桁違いの爪痕を残してほしいものだ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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