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「琉球トルネード」と別れ――ホークス島袋洋奨が新フォームで164球

田尻耕太郎スポーツライター

「トルネードではないかな」

 一目で変化に気づくほど、投げ方が変わっていた。島袋洋奨投手のことだ。

 身体をぐっと捻って投げる「琉球トルネード」の異名をとるフォームが特徴的だったのだが、明らかに捻りが少ない。その名残が全くないわけではなかったが、かなりシンプルな投球フォームに変わっていた。

 キャンプ第3クール最終日の12日、ブルペンで164球の投げ込みを敢行した。その終わりに声を掛けた。

――フォームが変わった?

「はい。昨年の秋から今のような投げ方をしています。体が入り過ぎないように。トルネードではないかな、と思います」

新フォームでも150キロに迫る直球

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フォームの連続写真
フォームの連続写真
昨年の春季キャンプ時のフォーム
昨年の春季キャンプ時のフォーム

 久保康生2軍投手コーチからヒントを得た。捕手の方向へそのまま体重移動をするには何が効率的なのか。「たとえばペットボトルを倒す発想と同じ。真っ直ぐ立てておいて、パタンと押してあげればいいい」。

 島袋は「身体の使い方がスムーズになった」と手ごたえを感じている。後ろにぐっと身体を回して“助走”をとらなくても、球の威力が減ることはなかった。

「去年秋のフェニックスリーグでは149キロが出たし、今日もいい感じで叩けている感覚がありました。それに変に力が入っていないからか、今日は164球も投げたのに腕の張りがそれほどないんです」

 トルネードを完全に捨てたわけではなく、「調子が悪くなった時はしっかり溜めて投げるやり方を試すときもあります」というが、高校時代に甲子園春夏連覇の偉業を成し遂げたトレードマークとは別れを告げた。

 大卒でプロ入りして5年、育成選手となって2度目のシーズンになる。置かれている立場は分かっている。支配下登録はもちろん、その先の1軍での活躍へ。島袋は新境地で勝負をかける。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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