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ホークス工藤監督、159キロ甲斐野に見た「好投手の条件」とは?

田尻耕太郎スポーツライター
工藤監督の見守る中、力強い投球を披露したルーキー甲斐野

自主トレで150キロ超をマーク

 ド迫力の御膳投球だった。1月28日、工藤公康監督が今年初めて筑後市の球団施設を訪れた中、ドラフト1位ルーキーの甲斐野央投手(東洋大学)がブルペン入りした。

 捕手のミットを突き抜けて、どこまでも伸びていきそうな豪速球を披露した。大学時代に最速159キロを記録したストレートが最大の魅力だ。25日のブルペンでは「7,8割」と言う中、計測機器「トラックマン」で152キロを記録していた。

 この日は計測がなかったものの、ボールを受けた谷川原は「140キロ後半・・・150キロ近く出ていたと思います。ゴワーッ系のストレートですね。千賀さんみたい。力強くて球が重い」と独特な言い回しで驚きを表した。

「いい仕上がりかな」と工藤監督

ブルペンで視察する工藤監督(右から3人目)
ブルペンで視察する工藤監督(右から3人目)

 視察した工藤監督も納得顔だった。

「球は速いけどフォームには力感がない。それはいいピッチャーの条件だと僕は思っている。肩や肘が柔らかく使えている証拠。今日見た中ではそのようにとらえています」

 すでに150キロ超を投げ込んだとの情報はもちろん耳にしている。「最速が159キロと聞いているので、152キロならば9割くらいの力は出していたのかな。ともかく、これまでしっかり(練習などを)やって来たという証になる。いい仕上がりなのかなと思うし、楽しみだなと思います」と笑みを浮かべた。

 甲斐野は「力は入りました。ただ気になった感じはしませんでした」と涼しい表情で話した。なかなかの強心臓である。豪快なボールこそ投げ込んでいたが、本人評は「これからもっと上げていかないと」と納得には程遠い様子。2月1日のブルペン入りを問われたが、「まだわからない」と落ち着いて返答するあたりも、只者ではない風格を備えている。

ルーキー複数名がA組スタートか

支配下ルーキー投手5名がそろい踏み
支配下ルーキー投手5名がそろい踏み

 また、この日は杉山一樹、板東湧梧、泉圭輔、奥村政稔も工藤監督の前でピッチングを行った。支配下登録の新人全員が投球を披露した。

 明日29日の監督・コーチ会議で春季キャンプのA組、B組の振り分けは正式決定されるが、工藤監督は「Aに入る人(ルーキー)も何人かいると思いますよ」と複数名の新人抜てきを示唆した。

(※写真はすべて筆者撮影)

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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