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和田、千賀、武田が2軍なのにローテは競争! ソフトバンクはピンチをチャンスに

田尻耕太郎スポーツライター
攝津は8日の2軍戦で快投。昇格チャンスに向けて準備を進めている。

牧原の決勝打で8連勝

6月8日、ソフトバンクはウエスタン・リーグでオリックスと対戦した。

【6月8日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 1,046人】

オリックス  000000000 0

ソフトバンク 00000001× 1

<バッテリー>

【BS】●岸田(3勝1敗)、海田――飯田

【H】攝津、○大隣(4勝2敗)、S加治屋(1勝1敗10セーブ)――栗原

<本塁打>

なし

<戦評>

ソフトバンクが8回に奪った1点だけで勝利して8連勝を飾った。

決勝打を放ったのは牧原。2死二塁のチャンスでライト前へ打球を運んだ。二塁走者の釜元の好走塁も光った。牧原は「僕自身、すごく不調でチームの何の役にも立てていなかった。今日はチームの勝利に貢献することが出来てよかったです」と若鷹スピーチでは万感の表情で話した。

投げては攝津、大隣、加治屋で完封リレー。2時間26分で終わる小刻み良い試合だった。オリックスの岸田は8回途中まで投げて自責0ながら敗戦投手の不運。失策で出た走者を残して降板し、後続の投手がタイムリーを浴びた。(了)

エース格の千賀にもアクシデント

千賀滉大が8日、出場登録選手を抹消された。

ソフトバンク球団からの発表によれば「背中の張りによるもので、病院に行く予定はない」とのことだが、5月16日のオリックス戦(京セラドーム)で痛めた箇所が再び悪化したものと思われる。

怪我人続出のソフトバンクの先発ローテ陣。まさしく泣きっ面に蜂である。

和田毅は先日左肘の手術を行い現在はリハビリ中。復帰は早くても今季の最終盤となる。右肩違和感を訴えていた武田翔太は先週土曜日(6月3日、日本ハム2軍戦=鎌ヶ谷)で実戦復帰。今週も土曜日(10日、阪神2軍戦=甲子園)も登板予定だが、まだ復活途上であることには違いない。

「大黒柱」3人離脱しても、揺るがない巨大戦力

今季の開幕投手と、WBC戦士2人がローテから外れたのである。

フツーならばチームは崩壊してしまうのだが、ソフトバンクは首位楽天とのゲーム差をじわじわ詰めて、6月7日時点で「1.5」まで縮めた。大得意の交流戦期間中とあって、いよいよ頂上も射程圏内だ。

若手が大奮闘をみせている。石川柊太がプロ初勝利から2週続けて先発連勝。松本裕樹も3日のDeNA戦(横浜)でプロ初勝利を飾った。

工藤公康監督も“救世主”の続々登場に大喜び。「私にとっては盆と正月がいっぺんに来たような感じですね。なんならクリスマスと僕の誕生日も加えていいですよ(笑)」という名(?)コメントを残した。

特に石川に関しては、まだ2度目の先発で6回2安打12奪三振の快投。さらに「試合途中に、フォームのバランスを修正した」という能力の高さを見せた。壮大な可能性を感じさせる右腕だ。

千賀に代わる先発は山田か高橋

そして、千賀に代わる「日曜日の男」は山田大樹と高橋純平が争う見込み。ファームの結果で見れば山田が優勢だ。ウエスタンで最多6勝をマークし、防御率2.55はリーグ3位。シーズン開幕直後が不調だっただけに、ここまで数字を上げてきたことが、状態が好転した証でもある。

高橋は先週日曜日(4日、日本ハム戦=鎌ヶ谷)で先発しており、中6日の登板間隔で臨めることが強みとなる。この試合では5回3失点だった。

攝津、大隣、寺原もファームで快投

また、8日にタマホームスタジアム筑後で行われたウエスタン・オリックス戦では攝津正と大隣憲司が登板。攝津は5回を投げて被安打2、与四死球0、奪三振5で無失点。大隣も3回パーフェクトで2奪三振と、ともに文句なしのピッチングを披露した。

攝津は最速144キロをマーク。直球に徐々に力が戻ってきた印象。大隣のストレートもキレを感じさせた。さらに前日水曜日の試合では寺原隼人も6回無失点と好結果を残している。

同日の一軍ナイターは中田賢一が先発。現在3試合続けてノックアウトを食らっており、背水の陣で臨む登板となる。

離脱者が続出しても、次々に新たな戦力が台頭。さらに実績が十分すぎるほどのベテラン投手まで控えている。やはりソフトバンクの戦力はとんでもなく分厚い。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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