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松坂大輔、「日本流キャンプ」が復活のカギだ!

田尻耕太郎スポーツライター
31日、キャンプ地入りし、宮崎市内での「ホークス日本一&歓迎パレード」に参加
31日、キャンプ地入りし、宮崎市内での「ホークス日本一&歓迎パレード」に参加

西武時代には「333球」

9年ぶりとなる<日本流キャンプ>が復活の道しるべとなるか。

福岡ソフトバンクホークスの松坂大輔投手は31日、チームとともに宮崎入り。キャンプでは主力のA組スタートが決まっている。メジャーに比べると2週間近くキャンプインが早まることになるが、「向こうでも2月には投球練習が出来るように調整していました。今年は『2月1日に間に合うように』という意識が働いたくらい」と意に介さない。

時期もそうだが、メジャーと日本のキャンプではでは大きな違いがある。「投げ込み」だ。日本では「××が○○○球の投げた」と、話題になることが多い。たとえば1日200球以上ともなれば、1時間以上投げっ放しということだ(1分あたり3、4球と考えて)。とんでもない疲労だ。但し、もちろんメリットがあるから、彼らは投げる。肩を作り、体力、精神力も鍛え上げる。また、多く投げ込むことで先に疲労するは上半身。狙いはそこだ。上半身の無駄な力が抜けた頃に、下半身主導の投球フォームを体に覚え込ませることが出来る。フォーム作りも大きな理由の一つだ。

下半身主導を取り戻せ

松坂は西武ライオンズに在籍した時代、「投げたがり」で有名な投手だった。メジャー移籍前年の2006年には「自己最多の333球の投げ込みを敢行した」という以前の新聞記事も見つけた。

一方メジャーでは「肩は消耗品」と考えられる。チーム毎にきちんと投球制限が設けられており、100球など御法度である。渡米当初、松坂のキャンプ記事ではそれに苦労する様子がしばしば伝えられた。

レッドソックス移籍1年目に15勝を挙げ2年目も18勝3敗と大活躍するも、翌年から低迷したのは故障だけが原因でなく、「日本時代の貯金」がなくなったからではないかと考える。松坂には日本流の投げ込みが合っている。もう一度ブルペンに立ち続けることで、以前のような下半身主導の投球フォームが戻ってくるはずだ。

当の松坂本人は「20代前半のように投げ込むかどうか、必要と思えばやりますし、そうでないならばやらないし。体調とも相談しながら、ですね」と明言は避けた。しかし「メジャーより柔らかい」とされる日本のマウンドに対応するため、「投げ込み以外にもシャドーピッチングや、キャッチボールをブルペンの傾斜の上で行うことは考えています」と練習プランの一つを明かした。

2月1日から始まるソフトバンク宮崎キャンプでは、松坂の「投球数」を気にして、取材に臨みたい。さあ、今日から26泊27日の、宮崎キャンプ取材だ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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