Yahoo!ニュース

岩政新監督の古典的なサッカーに無反応な日本が、鹿島以上に心配になる

杉山茂樹スポーツライター
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 Jリーグをパッと眺めたとき、5バックになりやすい3バックと、両サイドにサイドアタッカーが各2人構える一般的な4バックとに布陣を大別することができる。

 サンフレッチェ広島、名古屋グランパス、北海道コンサドーレ札幌、湘南ベルマーレ、ジュビロ磐田を前者だとすれば、横浜F・マリノス、川崎フロンターレ、セレッソ大阪、浦和レッズ、FC東京は後者になる。

 サッカーの色がそれぞれで大きく異なることは、スタンドからピッチに目を凝らせばたちどころに判明する。観戦の素人でも違いに気付くことができるだろう。

 5バックになりにくい攻撃的な3バックを日本でお目に掛かる機会は少ない。3バックは5バックと同義語として扱われる傾向があるが、世界に目を凝らせば、例外は少なからず目に止まる。グアルディオラがバルサ時代に採用していた3バックなどは、その典型的な例になる。

 4バックしかり。攻撃的な布陣と捉えられがちだが、例外はある。両サイドにサイドアタッカーが各2人構えていないスタイルがそれになる。高い位置からプレスを利かせにくいという点で、5バックになりやすい守備的な3バックと一致する。数列の表記から分かりやすいのは4-3-2-1。中盤ダイヤモンド型の4-4-2(4-1-2-1-2)もそれに属する。相手ボール時になるとそのダイヤモンド型は潰れ、4-3-1-2へと変形する。重心はおのずと後方に下がる。

 4-2-2-2もその仲間に入る。日本代表では加茂ジャパン、ジーコジャパンが好んで採用した布陣である。加茂周監督はつまり、プレスの掛かりにくい布陣でプレッシング(ゾーンプレス)を謳っていたことになる。

この記事は有料です。
たかがサッカー。されどサッカーのバックナンバーをお申し込みください。

スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

杉山茂樹の最近の記事