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コンセプトが曖昧な国立競技場は掘り下げて球技場に大改修すべし

杉山茂樹スポーツライター
(写真:Shigeki SUGIYAMA)

 報道受付ゲートまで徒歩数分。何を隠そう筆者は国立競技場の近隣住民である。一方で、サッカー系のスポーツライターとして世界に存在する無数のスタジアムを訪れてきた。1000には届いていないと思うが、300〜400では収まらない。筆者と比較対象のサンプルを同程度、持ち合わせている人はそう多くいない。というわけで、気がつけば自称スタジアム評論家になっていた。

 4年に1度のW杯やその中間年に行われるユーロは、その半分以上が新築かそれ同然に改修されたピカピカのスタジアムで行われる。世界的なビッグトーナメントの取材に出かければ、最新式のスタジアムで観戦する可能性が高まる。カタールW杯しかりである。それらと国立競技場を比較したとき、どうなのか。

 国立競技場にまつわる報道を見ていると、スタジアムそのものの話が大半を占める。スタジアムの屋根に木が使われているとか、スタンドの椅子がカラフルに塗り分けられているとか、隈謙吾さんが設計した本体の構造に目を向けようとする。しかし、スタジアムの善し悪しを語ろうとした時、原点はそこにない。

 立地はそれ以上に重要な要素になる。国立競技場はそうした意味で文句なしだ。スタジアムの出来映えには賛否両論あってもアクセスは満点だ。首都東京の心臓部と言うべき山手線の内側である。千駄ヶ谷や外苑前をはじめ利用可能な駅は数知れず。新宿や赤坂見附も徒歩圏内だ。埼玉スタジアムや横浜国際競技場と比較すれば、その違いは分かりやすい。

 旧国立競技場も同じ場所に立っていたので、立地やアクセスはともすると関心の低い話になる。しかし、それは日本一どころか世界一と断言したくなる決定的な要素になる。すなわち国立競技場は、集客がどこよりも期待できるという圧倒的なポテンシャルを秘めている。

 一般に公共の体育施設は大半が赤字と言われる。国立競技場にも採算面の心配は注がれているが本来、潜在的に高い可能性を秘めているという事実はあまり語られていない。

 そうした前提に立って、国立競技場をパッと眺めたときに思うことは、小ささである。竣工時が6万人で、現在は67750人。この収容人数を見て小さいと思う日本人は少ないかもしれない。先のブラジル戦で「本日の入場者数は63638人です」というアナウンスが流れたとき、スタンドにどよめきが湧いたことがなによりの証拠だ。ネットニュースでも、その数はセンセーショナルに報じられていた。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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