「ウイング天国ニッポン」を象徴するJリーガー2人。三笘薫もいいけれど、坂元達裕もかなりいい

(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 Jリーグを史上最速で制した川崎フロンターレ。以前のこの欄でも述べたが、特筆すべきは鬼木監督のメンバー交代枠(5人)をフルに使った采配だ。4人止まりだったのは現在までのところ2試合だけ。サブとレギュラーの境界をあえて曖昧にし、多くの選手が出場時間を分け合いながら優勝した。MVP(最優秀選手)の名前は実際、パッと出てこない。チームスポーツの理想を見るような圧勝劇だった。

 とはいえ、今季新たに加わった光る選手はいた。左ウイングの三笘薫だ。そのドリブル力は攻撃に大きなインパクトを与えた。得点も現在12ゴール(チーム2位タイ)を挙げている。ドリブル力に加えて決定力の高さも見せつけた。MVP候補に推されても不思議はない結果を残している。

 圧巻だったのは、11月18日の横浜Fマリノス戦。その終了間際のプレーになる。自軍の深い位置でボールを拾うとタッチライン付近までボールを運び、競り掛けてきた渡辺皓太をスピードの緩急で縦に抜くと、今度は内側にカットイン。マークに来たチアゴ・マルチンスの股間を抜くドリブルでさらに割って入り、小林悠に3点目のアシストとなるラストパスを送ったシーンだ。

 ドリブルはトータルで100m近くに及んだ。データがないのでなんとも言えないが、1回のドリブルに費やした距離として、最長記録にあたるのではないかと言いたくなる画期的なプレーだった。

 マラドーナが演じた「60m5人抜き」的に言うならば「100m2人抜き」だ。もっと話題になってもいいスーパードリブルである。

 しかし、三笘がMVPに輝く可能性は低いとみる。計26試合に出場しているが、先発出場はわずか8試合。通算出場時間もチームで12番目に過ぎない。活躍度のわりに少ない。鬼木監督がその出場時間をあえて抑えているという印象だ。

 それが結果的に奏功している気がする。名前が売れても変に消費されていないので、三笘は新鮮な状態を維持したまま試合に臨んでいる。端役の座にいい感じで収まっている。大事に育てられていると言うべきかもしれない。

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たかがサッカーごときに、なぜ世界の人々は夢中になるのか。ある意味で余計なことに、一生懸命になれるのか。馬鹿になれるのか。たかがとされどのバランスを取りながら、スポーツとしてのサッカーの魅力に、忠実に迫っていくつもりです。世の中であまりいわれていないことを、出来るだけ原稿化していこうと思っています。刺激を求めたい方、現状に満足していない方にとりわけにお勧めです。

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スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、2018年ロシア大会で連続10回現地取材となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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