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94-95シーズンCL準々決勝バルサ対マンUで魅せたロマーリオの異彩

杉山茂樹スポーツライター
(写真:Enrico Calderoni /アフロスポーツ)

 チャンピオンズリーグ1994-95と言えば、ウィーンの「エルンスト・ハッペル」で行われた決勝で、アヤックスがミランを下し22年ぶりの優勝を飾ったシーズンとして記憶される。

 アヤックスはグループリーグでもミランと同じ組で戦い、ホーム戦アウェー戦ともに勝利していたので、2連覇を狙ったミランに決勝戦を含め、1シーズンで3度勝ったことになる。

 その前シーズン(=93-94)にミランと決勝を争ったのは、アヤックス出身のヨハン・クライフが監督を務めるバルセロナ。前評判で大きく上回りながらミランに0-4で敗れた。

 そして続く94-95シーズンも、クライフ率いるバルサは、準々決勝でリベリアの怪人、ジョージ・ウェアを擁するパリSGに敗れていた。

 アヤックスのルイス・ファンハール監督は、そんなバルサについて「大物選手が個人プレーに走っている」と、ロマーリオ、ストイチコフの振る舞いを批判。選手がチームプレーに徹しながら快進撃を続ける自軍アヤックスとの違いを強調した。

 93-94シーズン、PSVからやっていたロマーリオは、アメリカW杯明けのシーズンにあたる94-95の初めからクライフ監督を悩ませていた。チームの練習に参加せず、シッチェスというバルセロナに隣接するリゾート地に雲隠れし、連絡が取れない状態にあった。悪童の名を欲しいままにしていた。

 そして95年に入るとバルサを電撃的に退団。ブラジルに帰国し、フラメンゴに移った。結局、バルサ在籍はわずか1シーズン半に終わったロマーリオだが、痕跡はしっかり残していた。30ゴールを挙げ、スペインリーグ得点王に輝いた93-94シーズン。半年しか在籍しなかった94-95シーズンで、ベストゲームを挙げるなら、チャンピオンズリーグのグループリーグ対マンチェスター・ユナイテッド戦となる。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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