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よい代表監督が現れれば、日本代表のサッカーは格段によくなる

杉山茂樹スポーツライター
(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 ハリルホジッチ監督時代の後半だった。次期日本代表監督は日本人でよいのではないかーーとの待望論が高まりをみせたのは。日本代表監督を外国人監督に頼る時代はもう終わったーーと言い放つ声さえ耳にした。

 日本人監督のレベルが上がり、外国人監督に追いついたと考える人が増えたことがその背景にあると考えられる。日本サッカーに対して上から目線で注文をつけるハリルホジッチへの抵抗感も後押ししていたのだろうが、当時湧いた声は、いまも健在なのか。森保一監督の次の代表監督も、日本人監督で行くべきだと考える人が多数派を占めているだろうか。日本代表監督に相応しい日本人監督はその後、誕生しているだろうか。日本人監督のレベルが上がったというなら、候補が目白押しである必要がある。

 アンジェ・ポステコグルーが横浜F・マリノスの監督に就任したのは2018年の初頭。ハリルホジッチ時代の末期であり、まさに前述の待望論が沸騰していた時期だった。日本代表監督に西野朗氏が就任したのはその直後で、そしてその約半年後、森保ジャパンが誕生した。

 ポステコグルーを新監督に迎えた横浜FMは、就任1年目こそJ1参入プレーオフに進出した16位ジュビロ磐田と同勝ち点の12位に沈んだが、2年目の昨季は見事、優勝。就任以来、一貫して提唱してきた攻撃的サッカーの花を開かせての優勝だった。単なる優勝ではないところに高い価値があった。

 一方、森保ジャパンは、横浜FMの優勝で幕を閉じたJリーグ終了直後に開催されたE1選手権で韓国に完敗。さらにその1ヶ月後に開催されたU-23アジア選手権でもグループリーグ敗退した。森保監督解任論は高まった状態にある。

 名を上げたポステコグルーと名を落とした森保監督。次期日本代表監督は日本人で……とのムードは、この2人の関係に象徴されるように、すっかり衰退してしまったかに見える。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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