ラグビーW杯的視点でサッカーを見れば。日本代表に加えたい外国籍Jリーガーは誰だ

(写真:ロイター/アフロ)

 先のパラグアイ戦、ミャンマー戦に招集された日本代表23人の中で、海外組の数は19人に及んだ。彼らは日本に帰国して1試合、ミャンマーに移動して1試合を戦い、そして欧州に戻っていった。

 一方、日本でいまW杯が開催されているラグビーは、日本代表30人中15人が外国出身者だ。サッカーをはじめとするそれ以外の競技と代表チームのコンセプトに違いがある。そこに違和感を覚える人がいても不思議はない。しかしである。彼らは全員、トップリーグのチームに所属しているサッカー的に言えば国内組だ。

 23人中19人が海外組で占められるサッカーと、30人中15人が外国出身者ながら、30人全員が国内組であるラグビーと。違和感を抱くのはどちらかと言えば、いい勝負になってきている。

 重要なのはルーツなのか、いまいる場所なのか。

 ルーツを重視するサッカーだが、この流れで行くと近い将来、代表チームの国内組はゼロになる可能性がある。全員海外組。となると、日本在住者はスタッフのみ。監督とコーチだけになる。彼らは通常、日本にいて海外でプレーする選手の現状をチェックできるのかという話になる。親善マッチを9割方国内で戦っているいまの代表戦の在り方にも、違和感を抱かざるを得なくなる。このスタイルで強化は進むのか。

 一方、海外組の中で、それぞれがプレーしている国の代表チームに入れそうな選手は、率直に言って誰一人いない。久保建英がスペイン代表になれるかと言えば、いまの時点ではノーだ。にもかかわらず、増加の一途を辿る海外組を見ていると、むしろラグビーの方があるべき姿に見えてくる。

 一方、Jリーグに、実力的に日本代表に入れそうな外国人選手は多数いる。滞在歴が3年以上というラグビーに用いられている規定を外せば、枠の半分ぐらいは直ぐに埋まるだろう。

 ラグビーは外国出身選手の顔がいま露出しやすい状態にある。W杯で活躍すればするほど、その知名度、認知度は上昇する。それに引き替えJリーグで活躍している外国人選手は……と、その姿が忍びなく見えてくる。脚光はもっと当てられるべきなのだ。

 いま、Jリーグでプレーする外国人選手の中で、日本代表に加えたくなる外国人選手は誰か。ラグビーW杯日本開催を記念して、まずはラグビー的な条件に適う選手からリストアップしてみたい。

 最上位に来る選手は誰か。日本代表でキャプテンを任せることができそうな、サッカー版のリーチ・マイケルは誰かといえば、それはレオ・シルバ(鹿島アントラーズ)だろう。2013年に来日。アルビレックス新潟で4シーズンを送った後、2017年、鹿島に移籍。現在そこで3シーズン目(通算7シーズン目)を送っているが、Jリーグのベスト11に輝いた過去はわずか1回(2014年)。2013年から現在に至るまでJリーグのベスト11に輝いてきた選手と、レオ・シルバの力量を比較すれば、選者の見る目に思わず疑問を抱きたくなる。格が違うだろと言いたくなる。

 鹿島はアジアチャンピオンズリーグ準々決勝で広州恒大に通算スコア1-1、アウェーゴールルールの差で惜敗したが、レオ・シルバのプレーは光った。相手の広州恒大にはパウリーニョがいた。つい1、2年前までバルサでプレーしていたブラジル代表選手。知名度の高い実力者であるが、レオ・シルバは、それさえも上回るプレーでチームを牽引した。得点も叩き出している。

 所属選手が続々と海外組に転じていく中、鹿島がなおコンスタントに上位を維持していられるのは、このブラジル人選手の存在と深い関係がある。チームの屋台骨を支えるキャプテンと呼びたくなる大黒柱なのだ。「ルーツなのか、いまいる場所なのか問題」に一石を投じる貴重なサンプルと言ってもいいほどだ。

 レオ・シルバ率いる鹿島に現在、勝ち点1差で先行しているFC東京も、一人の突出した外国人選手に支えられている。2016年柏レイソルに入団。昨年からFC東京でプレーするストライカー、ディエゴ・オリベイラだ。今季これまで叩き出したゴール数は13で、得点ランキングは首位タイ。彼のいないFC東京は考えられない状態にある。

 2トップを共に張る永井謙佑は日本代表に抜擢され、それなりに話題を集めているが、それ以上の存在であるディエゴ・オリベイラに脚光が当たる機会はあまりにも少ない。

 川崎フロンターレで推したくなるのはGKのチョン・ソンリョン。日本に来て4シーズン目の元韓国代表だ。来日当初から日本人GKとの違いを見せつけたが、Jリーグのベスト11に選ばれたのは昨季が初。選者はどういうわけかその力を簡単に認めようとしなかった。

 とはいえ、GKは日本人より韓国人、あるいは外国人という流れは、ここ2、3年ですっかり浸透した。チョン・ソンリョンが必ずしもナンバーワンではなくなっているほどだ。鹿島の元韓国代表GKクォン・スンテは、今季が3シーズン目。丸3年滞在しないとその国の代表になれないラグビーの規定に照らすと条件から外れる。しかし横浜マリノスのGK、パク・イルギュは、日本生まれなので問題ない。現在のJリーグの順位は、横浜3位、川崎4位。ここではパク・イルギュを推すことにしたい。

 3連覇を狙った川崎が現在4位に沈んでいる理由は、右サイドバック(SB)として2度ベスト11に輝いたエウシーニョを清水エスパルスに放出したことと深い関係がある。川崎と言えばパスサッカー。ともすると主役は中盤で、右SBは脇役に映るが、その解釈に誤りがあることがエウシーニョを失ったいま白日の下になっている。日本代表で現在、右SBを務めるのは酒井宏樹だが、エウシーニョの方が小回りは利く。動きは総合的に見て滑らかだ。

 日本滞在3年以上という枠を外せば、名前はまだまだ挙がる。

 一番は清水の左利きCFドウグラス。いまJリーグでゴールの期待を一番抱かせる選手だ。ライバルは先述のディエゴ・オリベイラ、マルコス・ジュニオール(横浜)になるが、総合能力はドウグラスの方が上と見る。

 センターバック(CB)では、チアゴ・マルチンス(横浜)だ。相手に後ろを突かれにくい独特のステップワークが光る技巧的な選手。まだ24歳と若く、近い将来、欧州のそれなりのクラブでも十分にやって行けそうな可能性を秘めている。国籍に関係なく選ぼうとすれば、その傍らでコンビを組む現日本代表、畠中槙之輔よりこちらになる。

 鹿島の韓国人CB、チョン・スンヒョンも推したくなる選手。元オランダ代表で元バルサの名手、ロナルト・クーマンを彷彿とさせる身のこなしが特徴的で、188センチの割には俊敏だ。正確なキック力にも定評がある。まだまだ伸びそうな気配を感じる好選手だ。

 日本人の若手選手が、有名になる前から日本を離れ、代表チーム23人中19人が海外組で占められる時代だ。国内サッカーの盛況には、有能な外国人選手の存在が不可欠であることは明々白々。そこで日本人選手の話ばかりするのは、今日的ではない。ラグビーW杯から学ぶことの一つだと思う。

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、2018年ロシア大会で連続10回現地取材となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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