動かぬ岩を動かした過去の名采配に学べ。鹿島のACL敗退に代表監督に求められる資質を見た

ユーロ2004。若き日のC・ロナウドとルイス・ペリペ・スコラーリ(写真:ロイター/アフロ)

 最近実際に見た試合で一番面白かった一戦はと問われれば、鹿島アントラーズ対広州恒大(アジアチャンピオンズリーグ準々決勝)と答えるつもりだ。第1戦(アウェー)の0-0という結果を受けての第2戦。カシマスタジアムで行われたホーム戦である。結果は1-1。鹿島はアウェーゴールルールに泣いたわけだが、鹿島に縁もゆかりもない筆者は、シンプルに第3者的な視点で楽しむことができた。まさに、アウェーゴールルールに基づくホーム&アウェー戦の醍醐味を堪能することができた。レベルもそれなりに高く見栄えもよかった。

 この試合の問題は(この試合に限らずACLの問題は)、テレビでライブ試聴しようとすると日テレ系のCSチャンネルに限られることだ。アジアで最もグレードの高い大会である。その決勝トーナメントの戦いのレベルは、代表チームで争われるアジアカップさえ上回る。その先にはクラブW杯が待ち構えているが、その放送権を持っているのは日テレだ。その流れでこのような事態になっているわけだが、そのCS系でしか視聴できないこの状態は、普及発展の足枷になっていると言わざるを得ない。アジアサッカーのレベルアップのカギを握る大会。NHKが正面から向き合うべき、公共性の高い王道を行く大会だ。

 話を試合に戻せば、1-1というこの結果は、アウェーゴールルールに基づけば広州恒大の勝ちになるが、ボクシングのように判定があるならば鹿島の勝ちと言っていいだろう。優勢だったのは鹿島。鹿島にいつ決勝ゴールが決まってもおかしくない試合だった。選手交代が遅れたわけでもない。その人選を誤ったようにも見えなかった。大岩剛監督の采配にもミスはなかった。敗因を探すのに苦労する試合だった。

 とはいえ、こちらの観戦サンプルには、動かない岩が監督采配によって動いたという試合がいくつもある。感激せずにはいられない名采配を目撃した経験が、だ。この広州恒大戦が惜しい試合だっただけに、つい、そうした過去の観戦例を引き合いに出したくなるのである。

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たかがサッカーごときに、なぜ世界の人々は夢中になるのか。ある意味で余計なことに、一生懸命になれるのか。馬鹿になれるのか。たかがとされどのバランスを取りながら、スポーツとしてのサッカーの魅力に、忠実に迫っていくつもりです。世の中であまりいわれていないことを、出来るだけ原稿化していこうと思っています。刺激を求めたい方、現状に満足していない方にとりわけにお勧めです。

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スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、2018年ロシア大会で連続10回現地取材となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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