先発わずか16試合でベスト11。SB西大伍の特異性と日本サッカーとの関係性

(写真:ロイター/アフロ)

 昨季のJ1リーグに先発出場したのは16試合。全34試合の半分以下だ。途中交代を含めても23試合。にもかかわらず堂々、Jリーグのベスト11に選ばれた。

 もちろんこの出場試合数は、他の10人と比較しても断然、低い。調べたわけではないけれど、歴代のベスト11の中でも最低であるに違いない。不思議なことは、西大伍のベスト11選出に、それでも違和感を抱かせないことだ。その選択はきわめて妥当。僕が選定委員だったとしても右サイドバック(SB)は彼になる。先発出場わずか16試合の選手が、順当にベスト11に輝いたというこの話。珍事とさえ言いたくなる。

 西大伍が昨季披露した一番のプレーは、アジアチャンピオンズリーグ準決勝対水原三星戦で、1-3を2-3とした鹿島の2点目のゴールになる。話すと長くなるので、詳しくは述べないが、彼はそこで絶品のトラップ&シュートを披露。見るものを唸らせた。世界広しといえど何人もできそうもない、それは最高級のプレーだった。

 結局、西大伍は鹿島アントラーズを退団。来季、ヴィッセル神戸でプレーする。最も収まりが悪い場所から、最も収まりがよい場所への移籍――といっても過言ではない。

 チームでただ一人のベスト11に出て行かれた鹿島。しかし、さほど痛い話ではない。昨季、西大伍を16試合しか先発させることができなかった理由は、ドイツから内田篤人がチームに戻ってきたからだ。膝に爆弾を抱えているとはいえこちらも実力者。人気に関しては西大伍以上だろう。さらに、怪我で昨季の大半を棒に振った伊東幸敏も控えている。こちらも代表級の選手だ。鹿島の強さの源である。鹿島は左SBの山本脩斗にも安定感がある。さらには安西幸輝というサイドなら右も左もこなせるユーティリティな選手も控えている。

 サッカーはSBで決まる。

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たかがサッカーごときに、なぜ世界の人々は夢中になるのか。ある意味で余計なことに、一生懸命になれるのか。馬鹿になれるのか。たかがとされどのバランスを取りながら、スポーツとしてのサッカーの魅力に、忠実に迫っていくつもりです。世の中であまりいわれていないことを、出来るだけ原稿化していこうと思っています。刺激を求めたい方、現状に満足していない方にとりわけにお勧めです。

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スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、2018年ロシア大会で連続10回現地取材となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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