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ハリルホジッチが目指すサッカーとは一体何か? 会見で露呈した説明する力の弱さ

杉山茂樹スポーツライター
ポゼッション重視の日本サッカーを否定したハリルホジッチだが……(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 ハリルホジッチの招聘に関わった当時の専務理事、原博実氏と技術委員長、霜田正浩氏は、もはや代表の仕事に関わっていない。もちろん、現在の技術委員長、西野朗氏も、その職に就いたのが去年の3月なので、当事者ではない。会長の顔もその間、大仁邦彌氏(招聘時)から田嶋幸三氏(現在)へと変わっている。

 日本代表の現在のスタッフの中に、代表監督に対して責任の取れる人物は存在しない。本来は、西野技術委員長、田嶋会長にあるが、任命した責任者ではない。逃げ道は残されている。

 ハリルホジッチは、ひとりエアポケットに置かれたような存在だ。組織として、これは異常だ。ロシアW杯が終了すれば、ハリルホジッチは日本を離れ、帰国する。いわば一時的な、3年強に限られた代表強化スタッフだ。ザッケローニやジーコと同種の人間である。その後は日本とは関わりのない世界で、生きていく。

 日本サッカーの方向性を論じようとすれば、1年後には日本を去っているハリルホジッチを、その手の議論の主役に据えるのはナンセンスだ。アドバイスは求めるのはいいが、決めるのは日本人。目指す方向性に相応しい次期代表監督を探すのは日本人の仕事だ。

 原さんは、2014年ブラジルW杯で、グループリーグ最下位に終わると、「方向性は間違っていなかった」と述べ、ザッケローニのサッカーを否定しなかった。確かに、一応、攻撃的なサッカーではあった。ボール支配率は高かったが、相手ボールに転じた瞬間、各所に穴が発生しやすいため、急な反撃を食いやすい、緩くて甘い隙だらけの攻撃的サッカーに陥った。コートジボアール、コロンビアには、そこを突かれ、敗れた。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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