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ヘタフェ移籍の柴崎岳が、MFではなく2トップの一角として出場する理由

杉山茂樹スポーツライター
(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

 ヘタフェに移籍した柴崎岳。スペインリーグ開幕戦を見事スタメン出場で飾った。目を引いたのはポジションで、中盤フラット型4−4−2の2トップ。2トップの一角というよりも、1トップ(ホルヘ・モリーナ)の脇というべきか。

 同系の4−4−2を布く鹿島では、主に守備的MFを担当していた柴崎だが、昨シーズンは左サイドハーフでもプレイした。「複数ポジションができれば、日本代表に選ばれる可能性も高まるから」とは、石井正忠監督(当時)が語った起用の理由だ。将来を見越した親心を感じさせる言葉だが、多機能な選手の存在は、監督采配にも好影響をもたらす。選手起用の選択肢を増やすことにつながる。

 中盤フラット型4−4−2は、基本的に10番、ゲームメーカー系の選手との相性が良好ではない布陣だ。その中に最適なポジションはない。守備的MF(センターハーフ)でもなければ、サイドハーフでもない。4−3−3のインサイドハーフ、4−2−3−1の1トップ下あたりが適した場所になるが、布陣を選択するのは監督だ。1選手の好みと、監督の好みが100%一致を見ることはない。選手が4−2−3−1がいいと言っても、監督が4−4−2だと言えば、選手はそれに従わざるを得ない。

 思い起こすのは、プレッシング全盛時代のイタリアだ。いわゆるファンタジスタは主に、その定番布陣である中盤フラット型4−4−2上のサイドハーフに位置していた。デルピエーロもユベントスでは、左サイドハーフとして出場。そこからゲームを作ろうとした。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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