日本のサッカー報道の自由度ランキングは、72位より下だ

自由度の低い日本のメディアに苦言を呈しハッパを掛けたイビチャ・オシム(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

浦和のペトロビッチ監督が記者会見の席で、メディアの報道姿勢に苦言を呈した。結果にだけ目を向けるのではなく、内容を見て語って欲しい、と。

ハリルホジッチも報道に、たびたび意見する監督だ。メディアがどんな伝え方をしているか、そのつどチェックしている様子で、それについて意見したり、切り返すようなコメントも吐いている。

2人とも日本語の読み書きはできないはずなので、記事が勝手に目に飛び込んでくるわけではない。周囲のスタッフに調べさせているのだろう。そうした背景も、同時に明るみに出る。チェックするのはいいけれど、それを引き合いに出し、チクリと反論する姿は、いささか格好悪い。ともすると、許容範囲の狭い、懐の浅い人に見える。

比較したくなるのは、同じ旧ユーゴ出身のオシムだ。かつて日本代表監督時代、こちらのインタビューにこう答えたものだ。

「(生まれ故郷である)サラエボの記者は、私をほぼ毎日、吊し上げようとした。なぜキミたち日本人は私に異を唱えないのか。私は侮辱されても全然構わない。それがキミたちの仕事ではないか。もっとも、批判されたからといって、こちらが簡単に意志を変えるつもりはないけれど」

この発言から透けて見えるのは、自分自身に対する自信だ。ペトロビッチ、ハリルホジッチにはない余裕を感じる。

そもそも、外国人監督にとって日本は余裕を保っていられる場所だ。基本的にうるさくない。試合後の会見を見れば一発でわかる。静かで穏やか。和やかでさえある。ペトロビッチやハリルホジッチが、メディアをチクりと腐しても、反論の声は、ほぼ一切挙がらない。

日本と外国との一番の差。ピッチの上の話、サッカーそのものの話より、こちらの差の方がはるかに大きい。もちろん、プレイの高いレベルにも驚かされたが、メディアのレベルの違いはそれ以上。果たす役割そのものが違っていた。

外国のメディアにあって、日本のメディアにないものは、なにより意見なのだ。日本にはそれが自由に言えないムードがある。サッカーは、感覚的な意見が飛び交うことが常識とされる、正解が見いだしにくいスポーツだ。にもかかわらず、意見が出なければ、この世界は沈黙する。サッカーというスポーツの魅力はあぶり出されない。日本のサッカーはそうした意味での面白みにまるで欠けている。

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たかがサッカーごときに、なぜ世界の人々は夢中になるのか。ある意味で余計なことに、一生懸命になれるのか。馬鹿になれるのか。たかがとされどのバランスを取りながら、スポーツとしてのサッカーの魅力に、忠実に迫っていくつもりです。世の中であまりいわれていないことを、出来るだけ原稿化していこうと思っています。刺激を求めたい方、現状に満足していない方にとりわけにお勧めです。

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スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、2018年ロシア大会で連続10回現地取材となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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