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「JAPANESE ONLY」は、メディアにも責任がある

杉山茂樹スポーツライター

横断幕が掲げられたのが3月8日で、制裁措置が決まったのは13日。その間、5日も「JAPANESE ONLY」は、放置されたも同然の状態にあった。JAPANESEは結果的に無言を貫くことになった。少なくとも僕にはそう見えた。

対応が遅かったのは、浦和レッズだけではない。

この問題で一番気にしなければならないのは世界の目だ。日本人の目ではない。横断幕に記された言葉は「さいたま市民オンリー」ではないのだ。日本人はこの時、世界の人から「見られている」という意識を持つ必要があった。

もしこの手の問題が欧州で起きればどうなるか。外国の反応が手に取るように伝わってくる環境の中で、例えば、ドイツやフランスが5日間、無言を通すことはまず無理だ。翌日、翌々日には、クラブやリーグ、あるいはサッカー協会が、なにがしかの声明を公の場で発しているだろう。国境を複数の国と接しているので、そうせざるを得ない状態に、嫌でも追い込まれるのだ。

川を1本超えれば外国。欧州では高速道路を走っていると、知らないうちに隣の国に入っていたりする。近隣諸国の新聞も簡単に読める。

欧州に限った話ではない。世界の大多数の国々が隣国と国境を地続きで接している。隣国の反応は、すぐに返ってくる。それぞれの国民は、多少なりともそれを意識しながら、毎日の生活を送らざるを得ない環境に置かれている。

そしてその感覚が、世界の常識、世界でダントツのナンバーワンスポーツであるサッカー界の常識を形成している。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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