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3−4−3を機能させたいのなら

杉山茂樹スポーツライター

ザッケローニ。その采配について批判する声は、批判しない声に比べて断然少ない。コンフェデ杯で3連敗すると、さすがに批判の声は高まった。しかし、それはあくまでも外野からのもので、お馴染みのテレビ解説者や評論家はイエスもノーも言わなかった。メディアも誰かの意見を引用するばかりで、自分たちは何も声を発しなかった。ライターもしかり。リスクを可能な限り避けた言い回しに終始した。本田圭佑や香川真司のプレイ内容について積極的に踏み込もうとするそれぞれの国の現地メディアとは対照的な姿を描いた。

ヨイショと「拡散」には積極的だが、少しでもリスクがあることは何も言わない。これはあまりにも不自然だ。それが見えてしまっているところが嘘臭さに拍車を掛ける。

ザッケローニの采配の中で、明らかに変だと感じるのは中盤フラット型3−4−3だ。4年近くやってきて使える目処さえ立っていない。これはザッケローニのいわばオリジナルなアイディア。トレードマークとも言うべき布陣、戦術だ。それがこの有様だというのに、突っ込もうとする人はほとんどいない。

練習ではよく見かける。合宿でそれを重点的に行ったこともある。だが、本番で試したことはほとんどない。頭から使ったのは2011年5月キリンカップ対ペルー戦、チェコ戦のみ。ペルー戦は上手くいかなかったので前半で止めている。

ザッケローニはこの試合後の会見で「3−4−3は必要な時まで取っておく」と、述べた。しかし、形になっていないものを取っておくことはできない。必要な時とは、もはやW杯本番しかない。にもかかわらず、使い所さえ分からない。どのような効果があるのかもハッキリしない。 重箱の隅を突いているわけではない。これは根本的な問題に他ならない。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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