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【NBA】ダリオ・シャリッチ(76ers) 新人王有力候補に浮上したクロアチア出身のオールラウンダー

杉浦大介スポーツライター
(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

ダリオ・シャリッチ(フィラデルフィア・76ers) 

1994年4月8日生まれ、22歳

クロアチア出身 ポジジョンはフォワード

まだ10代半ばだった2009年に母国リーグでプロデヴュー。2014年ドラフトでオーランド・マジックから1巡目全体12位で指名された後、76ersがトレードでその交渉権を獲得した。以降も2年間をトルコリーグで過ごした後、今季、ついに76ersの一員としてNBAデヴュー。当初は適応の時間が必要だったが、ロングジャンパーとパスセンスを兼備したプレーメーカーとして徐々に頭角を現した。2月6日〜3月24日まで22試合連続で二桁得点をマークし、その間は平均19.2得点(FG成功率46.5%)、7.7リバウンド、3.4アシストと大活躍。同僚ジョエル・エンビードとともに、新人王の最有力候補と目されている。

一問一答は3月29日、ブルックリンでのネッツ戦後に収録。グループセッションでのコメントも含まれる

まずはNBAでのプレーを理解する必要があった

ーーシーズン後半は好調で、開幕当初よりゲームがスローに感じられるようになったのでは?

DS:個人的にはやはり開幕当初の方が厳しかった。すべてが新しい経験で、物事が早く動いているように感じられた。(慣れるのに)数ヶ月は必要だったということ。今ではより多くの時間をプレーできるようになった。

ーー序盤戦と最近では具体的にはどこが変わった? 

DS:まずこのリーグでプレーし、得点し、良いプレーをする方法を理解する必要があった。それができるようになれば、すべてが容易になる。NBAもヨーロッパも同じバスケットボールだという人もいて、確かにそう言える部分もあるけれど、実際は別物だからね。

ーーNBA行きを望んでいる他の欧州選手にはどんなアドバイスをする? 

DS:欧州にはまだ才能に満ちた興味深いプレーヤーがたくさんいる。ただハードワークを続けて欲しい。壁にぶつかることもあるけど、自信を保ち続けなければいけない。僕自身がそうだったからね。

ーー適応を助けてくれた選手は? 

DS:同じヨーロッパ出身のエルサン(・イリャソワ)、セルヒオ(・ロドリゲス)とはより親しくなった。彼らはこのリーグに関して良いアドバイスをくれた。特にエルサンは僕と同じポジションだったから、攻守両面でいろいろと助けてくれた。ただ、彼らに限らず、チームのみんなと親しくなれた。たまにはチームメートたちとジョークを飛ばしあってリラックスする時間も必要だよ。

シクサーズは良い方向に向かっている

ーーブレット・ブラウンHCは君が良いプレーをすると76ersの勝利のチャンスは膨らむと述べていた。ジョエル・エンビードが故障離脱し、イリャソワが放出された後、自分の責任は大きくなったと感じる? 

DS:責任と呼ぶべきかどうかは分からない。機会がより多くなり、僕に注意を払われるようになったというべきかもしれない。(欧州でプレーしていた)若い頃の方が、より多くの重責を担っていると感じながらプレーしたものだった。人々は僕に多くを期待しているように感じ、その重圧の中でプレーすることで、プレッシャーをポジティブに変えていく術を学んでいったんだ。

ーードラフト指名後、2年待ったのは正しかったと今では感じられる?

DS:それはもちろんだ。トルコリーグでの2年間で、欧州の伝説的なコーチの一人であるドゥサン・イブコビッチの指導を受けることができた。その経験は大きな助けになっている。2年間で優勝トロフィーを獲得することはできなかったけど、どうやってゲームに集中するか、どうやってオープンになるか、ボールがないところでどう動くかなど、コーチは僕に多くのことを教えてくれた。何人かの選手は若くしてこのリーグに来て、ここで成長していく。僕はヨーロッパに2年間残ることを選び、自分自身のやるべきことに責任を持てるようになった。そしてついにアメリカに来て、このままここでやっていきたいと思っている。

ーーエンビードとはどちらが新人王になるかについてジョークを言い合ったりする? 

DS:彼には「新人王なんかよりももっと良いギフトを僕にプレゼントしてくれ」と言われた(笑)。シクサーズのロッカールームは僕が経験した中でもベストの1つ。僕がフィラデルフィアにいる限り、このままであって欲しいと思う。

ーー前年はわずか10勝に終わった76ersが、今季はすでに28勝を挙げている。この健闘の後、チームの将来について楽観的に感じられる?

DS:僕たちはまだ良い仕事ができていないと感じる人もいるのかもしれない。ただ、ジョエルが30戦(注・実際は31戦)しか出場できず、ベン・シモンズが1戦もプレーできていないのに、それでもすでに28勝だ。同じような状況だったら、これだけの勝ち星を挙げられないチームもたくさんあっただろう。僕たちは良い方向に向かっていると思う。ジョエル、シモンズが帰ってくれば、より多くのタレントを擁することになる。過去2、3年我慢してきた甲斐あって、将来には大きなことを成し遂げる機会があるはずだ。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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