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大型の台風15号が急転向する理由は?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風15号の雲の様子(ウェザーマップ)

東へ急カーブ

台風15号の予報円(ウェザーマップ)
台風15号の予報円(ウェザーマップ)

最新の台風予報円(気象庁発表)

大型で強い台風15号は、グアム島近海を北西に進んでいます。今後も海水温が29度以上ある暖かな海域で発達しながら北西方向へ進み、あさって12日(木)午前9時には、中心気圧935hPa、最大風速50メートル、最大瞬間風速70メートルの非常に強い台風となり、北緯20度を越える見込みです。

ただこのあたりから北東方向へ急カーブを切るように転向し、13日(金)から14日(土)にかけて、小笠原諸島の東から日本の東を北上する予想となっています。日本の東を北上する段階でもまだ非常に強い勢力を維持している予想ですから、もし列島に進路が向いていたら、非常に危険な台風の襲来となっていたかもしれません。

ではなぜ台風15号は東へ急転向するのでしょうか。

なぜ急転向?

台風15号と太平洋高気圧の関係(ウェザーマップ)
台風15号と太平洋高気圧の関係(ウェザーマップ)

上図は13日(金)昼の台風15号と太平洋高気圧の位置関係を予想したものです。

9月いっぱい記録的な猛暑をもたらした太平洋高気圧がちょうど日本付近で大きく弱まり、台風15号はこの弱まった太平洋高気圧の縁辺を北上した後、偏西風に流され、加速しながら日本の東を北上する予想です。

つまり危険な台風が北上してきたタイミングで、運よく太平洋高気圧も衰弱してくれるために、列島への台風の接近がなくなったような感じです。

少し前の状況だったら危なかった?

太平洋高気圧の実況(ウェザーマップ)
太平洋高気圧の実況(ウェザーマップ)

ちなみに10日ほど前は、太平洋高気圧の勢力がまだ強く、本州南岸にかかっていましたので、グアム島付近を進む台風は、南を大回りして北上し、本州付近を指向してもおかしくないような状況でした。

台風15号は小笠原諸島の東を離れて北上する見込みですが、海上は大しけとなり、また予報円の西側を進むと、まだ小笠原諸島が暴風域に入る可能性も残っていますので、最新情報にご注意ください。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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