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読めない台風13号の進路予想、関東や東海に上陸する計算も多い状況

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風や熱帯低気圧など(ウェザーマップ)

台風12号から変わった熱帯低気圧に警戒

雨雲の様子(気象庁発表に筆者加工あり)
雨雲の様子(気象庁発表に筆者加工あり)

タイトル画像にある通り、四国沖には台風12号から変わった熱帯低気圧があり、引き続き、本州付近はこれに伴う非常に湿った空気に覆われて、あちらこちらで雨雲が発達しています。

気象庁からは、北陸、東海、伊豆諸島で、線状降水帯が発生し、大雨災害の危険度が急激に高まる可能性があると発表されていて、その他の地域も雷を伴った猛烈な雨がいつどこで降ってもおかしくない状況です。(気象庁の大雨に関する情報

さらにこの熱帯低気圧の大雨のあと、やってくるのが台風13号です。

台風13号の動向は定まらず

台風13号の予報円(ウェザーマップ)
台風13号の予報円(ウェザーマップ)

最新の台風予報円(気象庁発表)

きのう5日(火)午後9時、沖縄の南で台風13号が発生し、きょう6日(水)午前9時現在、日本の南を時速25キロで北北東へ進んでいます。この台風の動向がなかなか定まりません。予報円が新しくなるたびに関東寄りに、しかも北上が遅くなっていて、最新の予報円では、真ん中を進むと、あさって8日(金)夜から9日(土)朝にかけて、千葉県沿岸を進む予想です。

また予報円の西側を進むと、8日(金)から10日(日)頃にかけて、比較的ゆっくりとした速度で東日本から北日本を北上するおそれがあり、実際そのような計算も多くなっている状況です。

これは西日本で上空の気圧の谷が深まり、この流れが反時計回りなので、この流れに乗るように予報円の西側を北上していくような計算が増えているためで、日本のモデルはこの流れに乗り、台風予報円よりもっと西側を進む計算もある一方、諸外国のモデルはこの流れに乗らない計算が多いなど、依然、不確実性が大きくなっています。

今後、時間が経過するほど、この台風13号の計算が次第に一致してくるものとみられますので、最新の予報円を確認することが必要です。

日本のMSMモデル

MSMモデル(ウェザーマップ)
MSMモデル(ウェザーマップ)

参考までに日本の代表的な2つのモデルの計算結果を示します。

まず1つ目はMSMモデルです。台風13号は予報円の西側をやや早めに北上し、あさって8日(金)午前9時には伊豆半島のすぐ南付近に北上する予想です。その後、ほぼ1日かけて関東付近を北上した後、9日(土)には東北の太平洋側を北上する計算です。

総雨量は関東で多くなっており、都内でも100ミリから150ミリ程度に達し、特に千葉県では300ミリ以上の記録的な大雨が計算されています。関東地方にとっては、最も危険度の高いコース予想となっています。

日本のGSMモデル

GSMモデル(ウェザーマップ)
GSMモデル(ウェザーマップ)

さらに2つ目はGSMモデルです。台風13号は予報円のさらに西側を早めに北上し、あさって8日(金)午前9時頃にはもう紀伊半島付近に達している予想です。その後、近畿を北上し、日本海へ抜ける計算です。総雨量は東海から近畿で多くなっていて、特に紀伊半島では300ミリ以上、その他も広く100ミリから200ミリ程度が計算されています。

このように日本のモデルでは、いずれも予報円の西側、つまり本州付近に影響が大きくなるコースが予想されています。今後の情報にご注意ください。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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