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迫る台風7号、コンパクトでも危険なノロノロ北上に厳重警戒

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風7号の雲(ウェザーマップ)

台風7号は紀伊半島を直撃へ、危険なノロノロ北上

台風7号の予報円(ウェザーマップ)
台風7号の予報円(ウェザーマップ)

最新の予報円(気象庁発表)

台風7号は日本の南を北西に進んでいます。きょう13日(日)正午現在の勢力は、中心気圧965hPa、最大風速40メートル、最大瞬間風速55メートルで、強い勢力となっていますが、暴風域の半径はわずか95キロしかなく、かなりコンパクトな台風へと変わってきています。

今後も北西方向へ進み、あさって15日(火)午前9時には紀伊半島付近に達する見込みで、この時点では強い勢力ではなくなるものの、暴風域を伴ったまま上陸するおそれが高いと思われます。台風7号のサイズはコンパクトで、勢力を落としながら上陸し、通過していくものの、注目はその速度が相変わらず遅いということです。

紀伊半島に達する頃の速度は10キロ未満のゆっくりとなっており、その後もせいぜい10キロから15キロ程度のノロノロした速度で、近畿や東海を北上するでしょう。コンパクトであっても、ノロノロと北上すれば、それだけ台風中心付近の非常に活発な雨雲が長い時間かかることになり、記録的な大雨となるおそれがあります。

台風の東側、特に南東斜面で危険な大雨に

台風7号の雨と風の予想(ウェザーマップ)
台風7号の雨と風の予想(ウェザーマップ)

上図は紀伊半島に上陸直前の台風7号の雨と風の予想です。台風本体の雨雲が南東風を伴ってぶつかる紀伊半島の東側では非常に激しい雨が降り、猛烈な雨の降る所もあるでしょう。台風7号の雨雲は比較的コンパクトですが、速度が遅いため、三重県を中心とした紀伊半島の東側では、このような雨が半日から1日程度も降り続くおそれがあり、非常に危険な状態となるかもしれません。

また紀伊半島以外も台風の東側にあたる関東西部の山沿いから静岡にかけては、湿った南東風がぶつかるため、雨量のかなり増える所がありそうです。

紀伊半島で1000ミリ超えも?

72時間の予想降水量(ウェザーマップ)
72時間の予想降水量(ウェザーマップ)

コンピュータの予想では、三重県の山沿いで、雨がピークとなる時間帯の24時間に、600ミリから800ミリもの大雨が降り、総雨量は1000ミリを超えるような計算を出しています。いくら雨に強い三重県とはいえ、土砂災害や河川の氾濫など、大きな災害にむすびついてもおかしくない豪雨となるかもしれません。

また奈良県、和歌山県、静岡県などでも300ミリから500ミリ以上の計算となっている所があり、関東でも神奈川西部の箱根で300ミリ以上、その他の西部や北部の山沿いでは100ミリから200ミリ程度の大雨が計算されています。

さらに注目は台風7号から遠く離れた岩手県の沿岸で200ミリから300ミリの計算が出ていることです。これは台風周辺の湿った空気と北からの冷涼な空気がぶつかって雨雲が発達するためで、岩手県にとっては記録的な大雨となるかもしれません。

まだ台風7号の列島襲来までには時間がありますので、早めの台風対策、大雨対策を心がけてください。(気象庁の気象情報

越境台風8号は影響なし

台風8号の予報円(ウェザーマップ)
台風8号の予報円(ウェザーマップ)

きのう12日(土)午前9時に台風8号が発生しました。この台風は発生当初から暴風域を持つ強い台風でしたが、そのわけは、西経域から東経域に移動してきたハリケーンだったからです。気象庁の発表でも『西経域から進んできたハリケーンが強い台風第8号になりました』ということになっています。

今後はしばらく西進した後、日本のはるか東を北上するため、日本への直接の影響はありません。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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