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台風2号は5月過去最強クラスの猛烈な勢力へ、グアム島直撃後、沖縄から本州付近への転向もありうる?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風2号の雲の様子(ウェザーマップ)

900hPaの猛烈な勢力へ発達予想

台風2号の予報円(ウェザーマップ)
台風2号の予報円(ウェザーマップ)

最新の台風予報円(気象庁発表)

タイトル画像にある通り、台風2号はグアム島近海で鋭い眼を持つ非常に強い勢力へと発達しており、予想以上に急速な発達を遂げています。

きょう23日(火)午後3時現在の勢力は、中心気圧935hPa、最大風速50メートル、最大瞬間風速は70メートルとなっており、あす24日(水)午後3時にはさらに発達し、中心気圧910hPa、最大風速55メートル、最大瞬間風速80メートルというとてつもない猛烈な勢力で、ちょうどグアム島付近を直撃する見込みです。グアム島では甚大な災害が発生しかねない台風の襲来となるため、最大級の警戒が必要です。

その後も台風2号は30度前後もある暖かな海面上で発達し、27日(土)午後3時には、中心気圧900hPa、最大風速60メートル(115ノット)、最大瞬間風速85メートルに達する見込みで、5月までの台風としては、過去最強クラスの勢力となる予想です。

5月最強クラスの台風へ発達予想

台風の風の統計がある1977年から2022年までの間に、最大風速55メートル(105ノット)以上の猛烈な勢力となった台風は106個ありますが、その多くは真夏から秋にかけて発生しており、5月までに限ると、わずかに9個しかありません。

以下は、5月までの猛烈な台風で最大風速の大きい順です。

2021年4月 台風2号 895hPa 120ノット

1986年5月 台風3号 910hPa 120ノット

2015年5月 台風6号 920hPa 110ノット

2019年2月 台風2号 920hPa 105ノット

2018年3月 台風3号 915hPa 105ノット

2015年3月~4月 台風4号 910hPa 105ノット

2011年5月 台風2号 920hPa 105ノット

2008年5月 台風2号 915hPa 105ノット

1980年5月 台風3号 930hPa 105ノット

今回の台風2号は、中心気圧900hPa、最大風速60メートル(115ノット)となる予想で、予想通りならば、5月までとしては、紛れもなく過去最強クラスの猛烈な台風ということになるでしょう。

沖縄付近へ北上後、転向もありうる?

台風2号と太平洋高気圧などの関係(ウェザーマップ発表に筆者加工あり)
台風2号と太平洋高気圧などの関係(ウェザーマップ発表に筆者加工あり)

台風2号は猛烈な勢力を維持しつつ、28日(日)にかけて、フィリピンの東海上にかけて西進しそうですが、そのまま真っすぐ西寄りに進むかというと、そういう感じでもなさそうです。

上図のように週末までは北側で強まる太平洋高気圧に北上をブロックされ、おおむね西寄りに進みますが、来週の週明けのタイミングで、この高気圧の勢力が沖縄付近から衰弱し、台風2号はこの隙をついて、西進から北上へと進路を変える計算が多数を占めています。

北緯20度以北では海水温が徐々に下がりますので、台風も徐々に衰えつつ北上する見込みですが、強い勢力を保ったまま、沖縄近海へ近づく可能性は十分に考えられ、沖縄方面は十分な警戒が必要となるでしょう。

そして沖縄近海からの進路はかなり不確実で、弱風帯に入るため、沖縄付近でしばらくウロウロするような計算があれば、転向しつつ北東方向へ進み、次第に偏西風帯に乗り、本州の南や本州付近への接近を予想する計算、また少ないものの、そのまま南シナ海へと西進を続けるような計算もあります。

沖縄はもちろん、進路によっては本州付近も来週後半にかけて、台風2号の影響を受ける可能性がありますので、長期間の監視が必要になりそうです。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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