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台風4号の最大特徴はノロノロ 長丁場の大雨や荒天に警戒を

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
台風4号や本州付近の発達した雲(ウェザーマップ)

ノロノロ進行の台風4号

台風4号の予報円(ウェザーマップ)
台風4号の予報円(ウェザーマップ)

台風の最新情報(気象庁)

台風4号は沖縄本島を通過した後、きょう3日(日)午前6時現在、沖縄本島の北の東シナ海を時速20キロで、北北西に進んでいます。中心気圧996hPa、最大風速20メートル、最大瞬間風速30メートルとなっています。

タイトル画像にある雲の様子をみると、台風4号の中心付近にはあまり活発な雨雲は見られない一方で、本州付近には背の高い積乱雲が発生しており、特に紀伊半島や九州南部周辺で激しい雨が降っています。すでに台風4号の暖湿気が本州付近で雨雲を発達させている状況です。

そして、この台風4号の最大の特徴は何と言っても速度が遅いことです。

一般に台風は本州付近を東寄りに進む場合、上空の偏西風に流されて自動車並みの時速40キロ以上(時には80キロ以上)にスピードアップして進むことが多いのですが、台風4号は上図に示した通り、時速20キロ程度の少し早めにこぐ自転車並みの速度で本州付近を東進する予想です。

さらに関東を通過する頃には東海上の高気圧に行く手を阻まれて、一段と速度ダウンする予想にもなっています。

このため、本州付近を通過するのに丸2日以上かかる見通しで、すでに激しい雨が降り出している太平洋側ではこれ以上の長丁場の大雨となるおそれがあります。あまりにも早い梅雨明けと記録的な猛暑で、まさにカラカラの状態が続いていましたが、カラカラ一転かなりの大雨という状況になりかねませんので、十分な警戒が必要です。

また台風自体の発達はあまり予想されていなく、暴風域を持つまでにはなりませんが、それでも最大瞬間風速30メートル程度を維持しつつ東進する予想のため、各地で強風にも注意が必要となります。

カラカラ一転長丁場の大雨に警戒

20日間降水量の平年比(気象庁)
20日間降水量の平年比(気象庁)

警報級の大雨のおそれ(気象庁情報をウェザーマップが発表)
警報級の大雨のおそれ(気象庁情報をウェザーマップが発表)

あまりにも早い梅雨明けで、きのう2日(土)までの20日間降水量は、東日本や西日本の多くの所で平年の40%未満となっており、特に関東などは濃い茶色の20%未満の所も目立っている状況です。本来なら雨の多いこの時期の記録的な少雨ということで、農作物の生育などに深刻な影響が出て、西日本では水不足も深刻になりつつあります。

こんな状況のところに、今回の台風4号は間違いなく恵みの雨をもたらしてくれることになりそうですが、恵みの雨と大雨は表裏一体の関係で、今回は悪くすれば恵みの雨を通り越して、災害の出かねない大雨になりかねません。

6日(水)になってもまだ九州から東海にかけては、気象庁から早期注意情報(警報級の可能性)で、警報級の可能性が「中」と発表されています。警報級の可能性の出されていない所でも、台風の進路次第で油断はできません。

当面気象庁からは、あす4日(月)午前6時までの24時間に、九州や四国の多い所で100ミリ前後、さらにあさって5日(火)午前6時までの24時間に九州や四国の多い所で100ミリから200ミリの予想雨量が出されていますが、これはまだ台風4号が九州に到達する(上陸する)前の大雨の雨量です。

その後、台風4号はゆっくりとノロノロ進行で本州付近を通過する見通しで、更なる長丁場の大雨に警戒が必要となります。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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