Yahoo!ニュース

真夜中に九州で線状降水帯が出現か、早めの避難行動を

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
線状降水帯が出現か(ウェザーマップ)

九州付近は線状降水帯の発生しやすい気象条件に

3日(金)午後9時の予想天気図(ウェザーマップ)
3日(金)午後9時の予想天気図(ウェザーマップ)

梅雨前線が再び活発となりながら本州付近に北上し始めています。

今夜午後9時の予想天気図をみると、非常に暖かく湿った空気が梅雨前線に沿うように大陸からくる流れと、太平洋高気圧を回るように沖縄付近からくる流れがちょうど九州付近で合流する予想です。

さらに前線の北側の上空には比較的冷たい空気(寒気)があり、また上空高い所で西風が強まることなどを含め、これらは集中的に大雨をもたらす線状降水帯がいつ発生してもおかしくないことを示唆しており、過去に幾度も集中豪雨を引き起こしている非常に危険な気圧配置と言えます。

真夜中に九州で線状降水帯が出現か

九州付近の雨雲予想(ウェザーマップ)
九州付近の雨雲予想(ウェザーマップ)

週末にかけて、西日本から東日本の広い範囲で大雨のおそれがありますが、特に危険度が高くなりそうなのは九州付近です。

今夜には熊本、あるいは鹿児島から宮崎を突っ切るように東西に連なる活発な雨雲が発生し、よりいっそう雨脚が強まる予想です。

この雨雲は構造的には線状降水帯とも取れるような予想となっており、その後、真夜中からあす4日(土)朝にかけて、同じような所にこの活発な雨雲が停滞する予想です。

今のところ、1時間の最大雨量は、熊本宮崎鹿児島で50ミリの予想となっていますが、このような線状の降水帯が発生する場合、過去には幾度となく予想をはるかに上回る降水に見舞われたことがあり、時には1時間に100ミリ以上の猛烈な雨を伴い、わずか数時間で狭い範囲に数百ミリというような記録的な豪雨がもたらされたことも多々あります。

今回もこのような危険な大雨となるおそれが十分にあり、特に真夜中に危険度が一気に増してくる可能性がありますので、気象台や自治体などからの最新情報を常に確認しつつ、何よりも早めの避難行動を心がけて下さい。

先月下旬、長崎の大雨も線状降水帯

6月25日(木)の雨雲(ウェザーマップ)
6月25日(木)の雨雲(ウェザーマップ)

危険な線状降水帯による大雨は今年もすでに発生しています。

先月25日(木)長崎県を中心に発生した大雨で、この時の雨雲の様子をみると、長崎県の五島列島から佐賀県付近にかけて、東西に連なるように線状降水帯が発生しているのがわかります。

実はこの時、前日の夕方に気象台から発表された長崎県の情報では、1時間の最大雨量は30ミリ、24時間の最大雨量は100ミリ~120ミリだったにもかかわらず、この線状降水帯が発生し、数時間停滞してしまったために、1時間雨量は佐世保市付近で120ミリ以上、波佐見町付近で約110ミリなどが解析され、数年に一度の大雨となっている時に発表される記録的短時間大雨情報が出されたほか、24時間雨量は200ミリ~300ミリ近くに達し、五島市や新上五島町では50年に一度の記録的な大雨となっているとの情報も発表されました。

この時のように、線状降水帯による雨雲の強化予想は非常に難しく、今の技術をもってしても、これだけ予想に開きが生じてしまう事実があります。

そんな中、今回の九州付近では比較的、明瞭に東西に連なる線状降水帯が発生する可能性が示されていますので、気象庁による気象レーダーなどで、土砂災害や浸水、洪水の危険度を常に確認しつつ、逃げ遅れにならないように、ぜひとも早めの避難行動を心がけて下さい。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

杉江勇次の最近の記事