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梅雨入り前に猛暑が到来する可能性、いつも以上に熱中症に警戒を

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
猛暑(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

週明けは一時的に太平洋高気圧が張り出す形に

太平洋高気圧の予想(ウェザーマップ)
太平洋高気圧の予想(ウェザーマップ)

現在沖縄付近まで勢力を拡大している太平洋高気圧ですが、来週の週明けになると、大陸からの高気圧の伝播と位相を合わせるように南から日本付近へ勢力を拡大する形となり、9日(火)から10日(水)頃を中心に、一時的ではありますが、盛夏期を思わせるような気圧配置となる予想です。

このため、全国的に晴れて強烈な日差しが照り付けるため、真夏を思わせる暑さとなるでしょう。

どうやら九州南部と四国以外(関東甲信や近畿など)の梅雨入りは、この一時的な盛夏状態が過ぎた後の来週後半以降に持ち越させることになりそうです。

大陸育ちの超暖気到来

上空の暖気予想(ウェザーマップ)
上空の暖気予想(ウェザーマップ)

高気圧の伝播と共に、大陸で育った非常に暖かな空気が週明けに、朝鮮半島から日本海を通り、本州付近へ流れこむ予想です。

特に紫色の部分は上空1500メートル付近で21℃以上の超暖気とも言える暖かな空気で、これは晴れれば地上付近で35℃以上の猛烈な暑さをもたらし、9日(火)にはやや範囲が狭まりながらも本州付近へ到達する予想です。

上空1500メートル付近の気温観測を行っている地点における最新の計算をみてみると、石川県輪島で9日(火)午後9時に21.0℃の予想となっており、これは平年より8.3℃も高く、6月としては記録的に暖かな空気と言えます。ちなみに真夏の平年値よりも3℃ほど高い気温です。

また茨城県館野で10日(火)午後9時に21.5℃の予想で、これも平年よりは8.6℃も高く、真夏以上に暖かな暖気と言えます。

来週前半は猛暑日続出も?

週間予報(ウェザーマップ)
週間予報(ウェザーマップ)

このところ一段と太陽高度が高くなっているため、晴れれば強烈な日差しで真夏日になる地点が増えており、その数は連日50地点前後に達しています。

きょうも午後5時の時点で真夏日の地点数は39地点に達しており、今後も週末にかけて、同じような暑さが続く見込みです。

そして来週になると、上述した通り、太平洋高気圧が一時的に張り出し、大陸育ちの超暖気が流れ込むため、一段と暑くなる予想で、ウェザーマップが発表している暑さの代表地点の予想では、9日(火)を中心に、広く33℃前後の厳しい暑さとなり、福島と福岡県久留米、大分県日田では34℃まで上がる予想です。

これらの地点ではさらに気温が上がるような気象条件となった場合、体温並みの36℃~37℃位まで上がる可能性も示唆されており、まさに梅雨入り前に猛暑が到来する可能性があると言えそうです。

東京でも、今年初の真夏日はもちろん、3日連続の真夏日が予想されています。

環境省から新型コロナ対策を含めた熱中症予防行動の留意点などが発表されていますが、とにかく30℃を超えるような屋外でのマスク着用は体内の熱が外に放出されにくく、より熱中症にかかりやすくなるため、非常に危険な場合があります。

ソーシャルディスタンスを維持できる場合はマスクを外すことが重要ですし、またソーシャルディスタンスを維持できない場合でも適度にマスクを外すことは熱中症予防につながります。

また今週から分散登校で学校の始まったところも多いかと思いますが、長きにわたる外出自粛で暑熱馴化(徐々に体を暑さに順応させること)がうまくいっていないのではないかという懸念があります。

特に小学生など、小さいお子さんは登下校中でも、マスクをして強烈な日差しを浴びるなどすれば、熱中症へかかるリスクが上昇すると思われますので、いつも以上に注意をしていただきたいと思います。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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