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台風15号、史上最強クラスで関東直撃のおそれも

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
ダブル台風の雲(ウェザーマップ)

関東上陸ならば史上最強クラスか

台風15号の予報円(ウェザーマップ)
台風15号の予報円(ウェザーマップ)

最新の台風予報円(気象庁)

台風15号はスケールが小さいコンパクトな台風ではあるものの、すでに強い台風となっており、小笠原近海を西寄りに進んでいます。

台風は今後も発達を続け、あす日曜日午前9時、八丈島の南海上に進んできた段階で、955hPa、最大瞬間風速は60メートルに達する見込みで、その後も勢力を維持しながら日曜日の夜以降、静岡県から関東の南岸に接近し、上陸するおそれがあります。

もし予想通りの勢力で、関東の南岸に上陸した場合は、統計史上最強クラスでの直撃となるおそれがあり、大雨や高波はもちろん、記録的な暴風(猛烈な風)が吹くおそれもあり、関東襲来の台風としては極めて危険な台風となるかもしれません。

統計のある1951年以降で、関東へ上陸した中心気圧の低い台風は(勢力の強い)以下の通りとなっています。

1958年台風21号(神奈川県三浦半島960hPa)

2002年台風21号(神奈川県川崎市付近960hPa)

1958年台風22号(神奈川県三浦半島965hPa)

1981年台風15号(千葉県館山市付近965hPa)

中心気圧970hPa未満で関東へ上陸した台風は上記の4例しかなく、今回の台風15号はスケールこそ小さいものの、記録的な強い勢力で関東を直撃するおそれがあります。(東海地方へは960hPa未満で上陸したことが何度もあります)

日曜日夜は急激に荒れる

日曜日夜の雨や風の予想(ウェザーマップ)
日曜日夜の雨や風の予想(ウェザーマップ)

日曜日午後6時の雨や風の予想をみると、台風の中心は関東の南を北上しており、伊豆諸島は大荒れとなっているものの、関東や東海はまだそれほど荒れていない予想です。

ところが午後10時頃には関東や東海の沿岸部から暴風域に入ってきている可能性が高く、急激に大荒れとなってくるでしょう。

月曜日朝の雨や風の予想

月曜日の雨や風の予想(ウェザーマップ)
月曜日の雨や風の予想(ウェザーマップ)

その後月曜日の明け方にかけて荒天がピークとなり、予想通りならば、関東沿岸部は最大瞬間風速50メートル以上の記録的な暴風に見舞われるおそれがあります。

雨も激しく、局地的には猛烈な雨の降る所もあるでしょう。

月曜日朝の通勤通学の時間帯になると大荒れの範囲は徐々に東へ抜けていきますが、夜中の大荒れの状況次第では朝の交通機関に多大なる影響が出るかもしれません。

今回の台風は大荒れとなっているピークの時間は長くても6時間程度とみられますが、その間に多い所では300ミリ前後の大雨や危険なほどの暴風に見舞われるおそれがあり、しかも荒天が真夜中と重なるため、暴風や大雨が予想される所では、たとえ穏やかであっても、思い切った避難行動を心がけた方がいいかもしれません。

コンパクトでも強いということは?

台風10号の天気図と15号の予想天気図(気象庁)
台風10号の天気図と15号の予想天気図(気象庁)

コンパクトでも強いということはどういうことでしょうか?

分かりやすくするために、先月お盆休みに西日本を直撃した大型の台風10号の天気図とあす日曜日の台風15号の天気図を比べてみます。

大型台風10号の等圧線は日本列島を包み込むほどに大きいのに対して、台風15号の等圧線はせいぜい東日本を包み込む程度となっています。ところが非常に密集している(混み合っている)のがわかります。

これは大型の台風10号の場合は徐々に風が強まり、長時間荒れた天気となるのに対し、コンパクトな台風15号は急激に風が強まり、大荒れとなるものの、荒天は比較的短い時間ということをあらわしています。

どちらがより危険だということはありませんが、台風の特徴をよく知った上での防災対策を立てるのが賢明です。

とにかく今回の台風15号は短い時間で急激に天候が悪化するのが特徴です。

参考:デジタル台風

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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