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東京の8月は「1993年大冷夏」以来の真夏日の少なさに?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雨ばかりで、真夏日の少ない不順な8月が続く(ペイレスイメージズ/アフロ)

真夏日の少ない8月(上旬~中旬)に?

東京の最高気温の実況と予想
東京の最高気温の実況と予想

当初、夏が始まる前の気象庁の予想では、8月は全国的に平年より晴れる日が多く、猛暑の恐れがあるという予報でしたが、ふたを開けてみれば、関東より北ではまるで逆をいくような結果となっています。

東京の今月の真夏日日数は昨日14日までで半分の7日しかありません。

さらにきょう15日の予想最高気温も27℃で、今発表されている週間予報では中旬いっぱい(20日まで)30℃以上の真夏日は予想されていません。

もしこの通りになれば、8月の真夏日日数は上旬~中旬にかけてたったの7日しかないことになり、これは極めて少ない日数となります。

では一体どれ位少ない日数なのでしょうか?

真夏日の少なさは1993年大冷夏以来となる可能性

8月上旬~中旬の真夏日日数(東京)
8月上旬~中旬の真夏日日数(東京)

東京の8月上旬~中旬の真夏日の日数を調べたものが上図です。

このところほとんどの年で15日以上あり、2016年、2013年、2010年などは19日と、言ってみればこの時期、真夏日にならない方が珍しい位です。

2003年の冷夏の年でさえ10日はありました。

もし今年が予想通り、真夏日日数が7日(一ケタ)で終わってしまうと、1993年大冷夏の年(4日)以来のこととなります。

この年は冷夏の影響で水稲の不作がひどく、深刻な米不足に陥ったほか、夏物衣料や家電製品、ビールや清涼飲料の販売不振、海水浴客の減少などが深刻となりました。

第一の原因は太平洋高気圧が弱いこと

上空の天気図でみる(気象庁HPより)
上空の天気図でみる(気象庁HPより)

不順な天候が続いている原因として、まず第一に太平洋高気圧が弱いことがあげられます。

気象庁の予想では8月に強まるはずの高気圧がさっぱり強まらずに、むしろ冷夏をもたらす北からの高気圧(オホーツク海高気圧)が強く張り出しているのです。

上空の天気図をみると、まだ梅雨の最中だった7月上旬は日本付近に南から高気圧が強く張り出して(オレンジ色)、むしろ梅雨というよりは真夏に近い状態だったのに、8月上旬は台風5号がウロウロしたこともあり、太平洋高気圧は日本付近で姿を消してしまっています(青色)。

今後の見通しとしては、来週になれば夏空と残暑が戻る予想ですが、季節はもう8月下旬。ちょっと遅い感じがします。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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