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沖縄の雪の可能性に迫る(石垣島でも雪!?)

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
あすは首里城でもみぞれの可能性がある!?(写真:アフロ)

雪が降るという根拠は?

今回、沖縄で雪が降るのではないか?と言われているその根拠は上空約1500mの気温予想にあります。

この付近の気温が-6℃以下に下がると地上の気温も3℃以下まで下がることが多く、降水があれば、雨から雪に変わる目安とも言われています。

ではこの寒気の流入がピークとなるあす24日(日)21時の予想をみてみましょう。

沖縄の上空約1500mに-6℃ラインが南下
沖縄の上空約1500mに-6℃ラインが南下

今回の寒気は西日本から沖縄にかけて特に強烈に流れ込む予想です。

まず福岡を覆っている-15℃以下の寒気は平年より10℃以上も低く、真冬の稚内に相当するようなレベルです。ですから、あすは九州北部を中心に、西日本でも日中の気温が0℃未満で推移するような極寒となるおそれがあります。

では、沖縄付近に注目してみましょう。

さきほどの地上で雪を降らすような-6℃のラインがちょうど沖縄に沿うように南下してくるのが分かります。では本当に沖縄に雪は降るのでしょうか?

地上の気温予想は?

今度は同じ時刻の地上の気温予想をみてみましょう。

24日(日)21時、地上の気温予想
24日(日)21時、地上の気温予想

すると、沖縄諸島はおおむね9℃~10℃程度の予想で、この気温ではとても雪になったり、雪が混じったりするような気温でないことが分かります。

ではなぜ一般的な雪の目安が沖縄には当てはまらないのでしょうか?

実は沖縄周辺の海水温が今の時期でも20℃以上あるため(本州付近より10℃以上高い)、この暖かな海水温の影響を受けて地上付近では気温が下がりにくくなってしまうのです。

地上気温が10℃以下になれば、沖縄にとっては滅多にないような寒さとなりますが、雪が降るような寒さとなるためには、どうしても暖かな海水温が邪魔をしてしまうということになります。

もし那覇で雨に雪がわずかでも混じるみぞれを観測すれば、観測史上初めての雪ということになりますが、その可能性は10%~20%程度とみるのが無難でしょう。

予想以上に気温が下がればもっと可能性は高まりますが・・・。

山間部では降雪の可能性が一気に高まる

では、海水温の影響を受けづらい標高の高い所ならどうでしょうか?

上空約250m、上空約500mの気温予想をみてみましょう。

24日(日)21時、上空約250mの気温予想
24日(日)21時、上空約250mの気温予想
24日(日)21時、上空約500mの気温予想
24日(日)21時、上空約500mの気温予想

すると、上空少し上がっただけで海水温の影響はかなり少なくなり、上空約250mでは3℃~4℃程度、上空約500mでは1℃~2℃程度まで下がる予想です。

雪になるかは湿度にもよりますが、データ上からは上空約250mでは雪が混じる可能性40%~50%、上空500mでは雪が混じる可能性90%以上で、1℃未満に下がれば雪が積もるような可能性も出てきます。

沖縄本島には本島最高峰で標高503mの与那覇岳、標高452mの嘉津宇岳(かつうだけ)、標高204mの石川岳など、北部を中心に標高の高い所がけっこうあります。

地上付近では雪の可能性は少なくても、標高が上がれば、一気に降雪の可能性が現実味を帯びてきそうです。

また、今回、強烈な寒気が八重山諸島にも南下する予想で、ことによると石垣島の標高の高い所でもひょっとしたら雪が降るかもしれません。石垣島の最高峰は於茂登岳(おもとだけ)で標高526m、これは沖縄県で最も高い山です。

なお、雪の映像を取るために標高の高い所、山へお出かけの際は、これまでに経験したことがないような寒さに見舞われるおそれがあります。十分な注意をはらって、行動して頂きたいと思います。

なお沖縄の崎濱気象予報士の記事も参考になさって下さい。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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