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【退学しないで!第2弾】奨学金以外にも使える大学生・専門学校生の生活費支援【現金給付・公的貸し付け】

末冨芳日本大学教授・こども家庭庁こども家庭審議会部会委員
(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

 「学生の13人に1人が退学検討 コロナで生活厳しく、団体調査」という大学生たち自身が厳しい状況を訴えるニュースが流れました。

 いてもたってもいられない思いです。

 この記事では、奨学金以外の生活費を支える支援制度についてまとめています。

 具体的には国民1人あたり10万円の現金給付を学生が受け取るにはどうするか、また家族が失業や休業、あるいはアルバイト激減の独立生計の学生さんたちが利用できる公的資金貸付制度についてもまとめました。

 奨学金と違って、あまり知られていない仕組みであろうと思います。

 手続きの方法含め、なるべく具体的に紹介をしていきます。

 ※奨学金・授業料に関する支援情報はこちらから

 【退学しないで!】世帯収入・バイト激減!大学生・専門学校生がいま利用できる支援制度【学費・授業料】

1.国民1人10万円の現金給付

誰が世帯主かに注意、留学生も利用可能、帰国学生は住民票の復活が必要

 まず国民1人10万円の現金給付ですが、4月27日時点での「世帯主」あてに申請書が届きます。

 

 日本国内に住民票の住所を持っている国民や在留資格者であれば全員が給付対象となります。

 したがって、留学生も利用可能です。

 留学生さんは住民登録が必要になります。

 Yu Ohtaniさんによる20か国語対応の情報もあわせてご活用ください。(4/25追記)

 外国籍・無国籍でも給付金(10万円)がもらえます - 新型コロナウィルス

 海外から帰国した学生さんは住民票の復活が必要ですので、手続きをしてください。

 手続きが終われば現金給付の申請書が送られてくるはずです。。

 文部科学省の事務連絡でもこれらのルールを確認することができます。

 現金給付の手続き方法はこちらの記事にとてもわかりやすくまとめられています。

 <新型コロナ>10万円給付 自己申告制 世帯ごと書類返送 来月の支給目標(東京新聞・2020年4月21日)

 実家に住んでいる学生さんの場合には、世帯主である保護者が家族の分をまとめて申請することになります。

 ひとり暮らしの学生さんの場合、前に住んでいた区市町村の役所に「転出届」を出し、いま住んでいる区市町村の役所に「転入届」が済んでいて住民票の「世帯主」となっていれば、いま住んでいる住所に届きます。

 逆に住民票の「転出届」「転入届」の手続きをしていないと、実家の住所や、前住んでいた住所に申請書が届いてしまうことになります。

 もしあなた自身がDV被害者である場合には、こちらの記事をご確認ください。

 自治体への申し出であなたが受け取ることもできます。

DVで別居、10万円受け取り可能に 自治体に申し出を・朝日新聞2020年4月24日記事

2.「転出届」「転入届」っていまからできますか?

「転出届」は郵送対応できますが、「転入届」は役所に行かないともらえません。

 この記事を読んで4月27日時点で、ひとり暮らしで引っ越しをしたけれど、前の住所からの「転出届」「転入届」ができていない、と焦った学生さんもおられると思います。

 10万円の現金給付には本人確認が必要なので、だれかほかの見知らぬ人が、受け取ることはできませんので、安心してください。

 なるべくすぐに「転出届」「転入届」を済ませましょう。

 やり方は2段階。

(1) 前に住んでいた自治体に郵送で「転出届」を送付してもらいます。

 たとえば私の勤務する大学がある世田谷区の場合には、こちらをご覧ください。

  ※前に住んでいた自治体のHPを必ず確認してください。

 

(2)「転入届」は役所で手続き、感染予防に注意して窓口に行きましょう。

 「転入届」は、必ず本人確認が必要です。

 世田谷区の場合には、こちらをご覧ください。

 ※今住んでいる自治体のHPを必ず確認してください。

 

(3)「転入届」のときに役所窓口で、現金給付の方法について聞き、必要な手続きをとってください。

 以上で、現金給付の申請書があなたのもとに届きます。

 ここまでの手続きで、若い学生さんが疲れるのはとてもよくわかります。

 私も、昔そうでしたから。

 大人になるって、大事な手続きを忘れないってことなのです。

 申請書が届いたら、必ず提出してください。

 10万円の現金給付はとても大切です。

3.家族や独立生計の学生の失業・休業・アルバイト収入減少は公的な貸し付けも受けられます(10~20万円程度)

窓口は住んでいる自治体の社会福祉協議会、カードローンに手を出す前に

 生活費が行き詰まってくると、安易にカードローンを利用してしまう方も出てきてしまうでしょう。

 また実家の暮らしが苦しい場合もあると思います。

 カードローンに手を出す前に、公的な貸し付け制度を利用してください。

 利子もなく、保証人も必要ありません。

 1年後から返済という風にいまのところなっていますが、社会福祉協議会の貸し付けは、返済の金額やスケジュールも、相談すれば柔軟に対応いただける場合も多いです。

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全国社会福祉協議会より転載

(厚生労働省事業での「緊急小口資金等の特例貸付」という仕組みになります。)

 赤石千衣子さんの以下の記事のQ3もぜひご覧ください。

 新型コロナでお金に困っているひとり親家庭の方へ さまざまな支援をご紹介【随時更新】

 公的な貸付制度を利用するためには、住んでいる自治体の社会福祉協議会にまずは電話してみることが大事です。

 たとえば世田谷区社会福祉協議会では、生活資金のほかに住居確保金(家賃助成)の案内などもわかりやすくされています。

 社会福祉協議会とは非営利の民間団体で、今回は厚生労働省から委託されて、新型コロナウィルスで影響を受けた方々への貸し付けを行ってる“ちゃんとした”団体です。

 いま住んでいる自治体の社会福祉協議会にまずは相談をしてみましょう。

 学生自身が利用できる場合もありますし、保護者や家族で家計を維持していた方で失業もしくは休業してしまった、などの場合でも利用できます。

 制度を利用できるのは、学生自身の場合でしたら以下のような状況の方になります。

 ひとり暮らしの大学生・専門学校生で、実家頼ることができない状況で学費や生活費を奨学金、授業料免除、アルバイトなどで全てまかなっている学生さん、児童養護施設出身の学生さんなど、独立して生計をたてていた場合。

※なお、厚生労働省の方針もひび支援対象を拡大していて、独立生計の学生さんが支援対象にならないという「誤解」をしている場合もあります。

 その場合には、厚生労働省生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付の 運用に関する問答集(vol.6)のQ17にそのことが書いてあります。(4/25追記)

 このサイトをひらいて「厚生労働省の方針を確認してください、独立生計の学生も対象になっているという情報があります」と伝えていただければ貸し付けを受けることができます。

 (目の前の、もしくは電話のむこうの社会福祉協議会の職員さんたちも、感染リスクの中で毎日出勤して、たくさんの大変な状況の国民市民への支援続けておられます。なので厚労省方針のアップデートが追い付かない場合があるのです。みなさんも大変ですが、少しだけ思いやりの心をもっていただけるといいかなと。)

 また、保護者や家族が、失業もしくは休業してしまったり、パートやアルバイトの収入が激減してしまった、生活費や家賃が払えそうにない!などの場合にも貸し付けを受けることができます。

最後に:利用できる仕組みはすべて利用して、学び続けましょう

 今回は、奨学金以外の現金給付や生活資金貸付についての情報をまとめました。

 

 生活の安定は心の安定につながり、みなさんが学び続ける基盤を作ってくれます。

 

 もし大学の教員や職員の方がこれを読んでくださっているのでしたら、学生たちがこうした支援につながるための情報共有や、手続きについても可能な範囲でアドバイスやサポートをいただけませんでしょうか。

 若者にかかわる大人のみなさまの、あたたかい気持ちと行動を信じています。

日本大学教授・こども家庭庁こども家庭審議会部会委員

末冨 芳(すえとみ かおり)、専門は教育行政学、教育財政学。子どもの貧困対策は「すべての子ども・若者のウェルビーイング(幸せ)」がゴール、という理論的立場のもと、2014年より内閣府・子どもの貧困対策に有識者として参画。教育費問題を研究。家計教育費負担に依存しつづけ成熟期を通り過ぎた日本の教育政策を、格差・貧困の改善という視点から分析し共に改善するというアクティビスト型の研究活動も展開。多様な教育機会や教育のイノベーション、学校内居場所カフェも研究対象とする。主著に『教育費の政治経済学』(勁草書房)、『子どもの貧困対策と教育支援』(明石書店,編著)など。

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