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右ハムストリングの負傷から復帰したメッシ

林壮一ノンフィクションライター
(写真:ロイター/アフロ)

 現地時間の4月6日、リオネル・メッシがピッチに立った。3月13日に負傷して以来の復帰戦だった。千両役者ぶりを発揮してゴールを決め、インテル・マイアミに希望を与えた。

 戦列を離れていたメッシは、先週土曜日のコロラド・ラピッズ戦に途中出場。ゲームは2-2で引き分けた。アルゼンチン人代表チームのキャプテンは、ピッチに立ってからわずか13分で存在感を示した。左サイドからのクロスを冷静に合わせ、利き足でゴール。

 その直前にペナルティエリアに走り込んできたメッシのオープンスペースの使い方は、バロンドール8度受賞の貫録を見せた。

 メッシのゴールから1分後、レオ・アルフォンソがインテル・マイアミでの初ゴールを決め、88分にはラピッズが追いつき、引き分けとなった。

写真:ロイター/アフロ

 メッシがピッチに立ち、ゴールしたことでファンは溜飲を下げた。右ハムストリングの負傷から復帰したメッシは、この日5本のシュートを放った。彼はマイアミの攻撃の軸であり、彼がピッチに立つと意のままに得点できるかのようだ。

 しかし現地時間10日、インテル・マイアミはアウェイのメキシコに遠征し、クラブ、モンテレイに3-1で敗れた。この黒星によって、コンカカフ・チャンピオンズリーグは終わりとなった。マイアミのタタ・マルティーノ監督が、今季最も重要視した大会だったが、クラブワールドカップへの出場は断たれた。

 リオネル・メッシはモンテレイ戦で先発に復帰。マイアミはポゼッションでは上回ったが、背番号10の枠内シュートはわずか1本。これではやはり勝利はあげられない。

写真:ロイター/アフロ

 マイアミの面々は足が疲れているようだった。ロバート・テイラー、ダビド・ルイス、セルヒイ・クリフツォフらがケガや出場停止でメンバーが揃わず、マルティーノ監督もカードを切るに切れなかった。ジョルディ・アルバが4分間で2枚のイエローカードを受けたことで、マイアミは劣勢に立たされ、10人で試合を終えることとなった。

写真:ロイター/アフロ

 昨シーズンのマイアミは、メッシ効果でリーグスカップを制し、米国内で大きなムーブメントを起こした。今季は東地区3位とそこそこの成績を収めているものの、1年前の社会現象とは程遠い。これからマイアミは、リーグとリーグスカップに集中しなければならない。来たる13日には、スポルティング・カンザスシティ戦が待ち受けている。

写真:ロイター/アフロ

 本コーナーの御意見番でもあるアルゼンチン人サッカーコーチのセルヒオ・エスクデロは、「アメリカでなら十分通用するだろうが、36歳のメッシが週2ペースで公式戦を戦うのは厳しい。代表では、スーパーサブ的な役割がいいのではないか」と語っている。

 注目を浴びるメッシ率いるマイアミ。今後、どう戦い抜くか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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