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2度目の防衛戦を控えた日本ライト級王者、仲里周磨

林壮一ノンフィクションライター
撮影:筆者

 第64代日本ライト級チャンピオン、仲里周磨(27)が、4月9日に2度目の防衛戦を迎える。挑戦者は同級1位の三代大訓。

写真:山口裕朗
写真:山口裕朗

 両者は2017年10月16日に対戦し、この時は仲里が0-3の判定負けを喫した。仲里にとって、プロ生活初の黒星だった。

 「2015年12月の試合で右の拳を痛め、1年半くらいブランクを作ってしまったんです。2017年の6月にタイの選手を倒して復帰したのですが、三代戦はまだリング慣れしていないような調子で、自分のボクシングが出来ませんでした。それが最も大きな敗因ですね。いつかリベンジしたいと思ってやってきました」

撮影:筆者
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 2023年4月、仲里は三代と数え切れないほどのスパーリングを重ねた宇津木秀を3ラウンドでKOして、日本王座を獲得。その後、LAでキャンプを張り、ルディ・エルナンデスの指導を受けた。

 「短い時間でしたが、足の位置、バランス、パンチの角度など、基本的な事をみっちりやりました。本当にボクシングを始めた頃の、初心に戻るようなメニューでした。今、それが実になっていることを感じます。一発一発のパンチや重心など、成長を感じていますね」

写真:山口裕朗
写真:山口裕朗

 このキャンプでは、現WBCバンタム級チャンピオンの中谷潤人とジムで顔を合わせた。

 「彼は本当に上手いですよね。もの凄く刺激になります。繰り返し映像を見ていますよ。12ラウンドの組み立てにしても、いい感じで力を抜く回を作れる。あのクレバーさは勉強になります」

撮影:筆者
撮影:筆者

 昨年のクリスマスに故郷、沖縄で初防衛に成功し、9日のリングに上がる。日本チャンピオンとして、新年を過ごすことが出来た仲里は、飛躍を誓った。年明けからゴルフ場や沖縄の海岸を精力的に走り込み、万全の状態に仕上げた。

撮影:筆者
撮影:筆者

 「WBCで11位にランクされましたし、今回勝てば、一桁台に行けるかな、という思いがあります。もちろん三代を倒してさらに上を目指したいですね。ジャブが上手い選手なので、離れた距離、彼の距離を潰して、中間距離、あるいは接近戦で自分の持ち味を生かす展開にもっていきたいです」

写真:山口裕朗
写真:山口裕朗

 仲里周磨の魅力は、何と言っても実父であり元OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者の繁譲りのハードパンチである。周磨は、小学生時代から父が開いたジムに顔を出すようになり、親子で階段を上って来た。

 4月9日は、どんなファイトとなるか。6年半ぶりの雪辱は果たせるか。チャンピオンとしてリングに上がる仲里の戦いに期待したい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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