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WBCスーパーウエルター級王座空位決定戦

林壮一ノンフィクションライター
Esther Lin/SHOWTIME

 WBCスーパーウエルター級2位のセルヒイ・ボハチュクと、同3位のセバスチャン・フンドラが、空位のWBCスーパーウエルター級王座を懸けて3月30日に対戦する。

 23勝1敗のボハチュクは、全ての勝利をKOで飾っているハードパンチャーだ。対するフンドラは197cmの高身長だ。

 先日、フンドラがメディアに向けてコメントを出した。

 「私はボハチュクと数限りない、スパーリングを重ねてきました。何千ラウンドもやりましたね。しかし、それは過去のことであり、我々は今、ライバルとして別々の場所にいます。確か2019年頃、遅くても2020年の上旬以降、スパーはやっていません。

 ボハチュクと、これほど多くのラウンドを共有できたことは光栄です。私は自分が最初に手にした世界タイトルを、彼以外の選手と戦う気はありません。彼はひたすら前に出てくる、手数の多いファイターです。ボハチュクの進歩は理解していますが、スタイルは同じでしょう。自分の仕事は、3月30日に私たちの間にある差を表すことです」

Esther Lin/SHOWTIME
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 カリフォルニア州コーチェラ出身のフンドラと、実父でトレーナーを務めるフレディは、今回のトレーニングキャンプ地を南カリフォルニアのテハチャピ山脈とした。

 「今、雪と雨に悩まされ、クマも出現する山にいますが、それ以外はいつもと変わりません。チームのお陰でここまで来られました。 今のところ、3月30日に向けて順調にメニューをこなしています。トレーニングキャンプでは言われたことをこなすのみです。短い期間で細かな課題があり、父がリーダーです。私が道から外れたとしても、傍にいて、より良い策を示してくれます」

 フンドラにとっては、昨年4月にブライアン・メンドーサ戦でプロキャリア初黒星、しかもKO負けを喫して以来の復帰戦となる。試合前、圧倒的有利とされていたが、7回に沈んだ。保持していたWBC暫定スーパーウエルター級タイトルも失った。

 同タイトルは、フンドラを下したブライアン・メンドーサに移ったが、メンドーサがその後、WBOタイトルに挑んだため、また空位となってフンドラにチャンスが回って来た。

Esther Lin/SHOWTIME
Esther Lin/SHOWTIME

 フンドラは振り返る。

 「ベルトを失った翌日、父と狩りに行きました。『あまり心配しないように』と言ってくれました。この競技は、成長も後退も実に速く展開します。1か月ほど休暇を取ったのですが、直ぐにキャンプに戻りました。私たちは敗北に対して、”手を洗う”ような行動をとりました。

 試合中、自分が優勢だったことはわかっていましたが、結果はあの通りでした。私はKOされたのです。だから、全てを投げ出して前に向かわねばなりません。ファンはこれまでと同じように私に期待するでしょう。最高のセバスチャン・フンドラをお見せしますよ」

 プロモーターは、フンドラが勝利すれば、3月30日のメインイベンターであるWBO同級王者、ティム・チューに挑戦させる青写真を描いているようだ。が、23度のKO勝ちを誇るウクライナ人、ボハチュクは侮れない。

 さて、どんな一戦になるか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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